恋チュン動画の私的まとめー恋チュン動画はリトマス試験紙であるー

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【恋チュン】AKB48の恋するフォーチュンクッキーを組織をあげて踊るという件について
こちらを9月18日にブログをアップして以来、約1ヶ月にわたり細々と動画をアップし続けました。かなり数が増えてきました。メディアで取り上げられることも多く、ひとつのムーブメントとして面白い事になっています。
1ヶ月経ちましたので、あくまで私的なまとめをしたいと思います。

1.これは宣伝である

佐賀県の動画がアップされたのが9月18日でした。この動画を見て、自然な形で佐賀県の仕事を紹介しているなと思いました。昨今の自治体は、婚活支援のために街コンを開いたり、税収増や雇用創出のための企業誘致などにかなり力を入れています。また、宮崎県の前東国原知事が「宮崎のトップセールスマン」として走り回ったように、その地域のセールスや商社的な機能も果たしています。そういった現在の県の取り組みを恋チュンというフォーマットに載せて上手くアピールしています。

また、各企業の動画も会社の雰囲気をうまく伝える事が出来ています。サイバーエージェント社の動画は、IT企業でありながら若い女性がたくさん働いている事を上手く伝えられていますし、テイクアンドギブ・ニーズ社の動画は各地の結婚式場の様子を伝えていますし、日本交通社では、この動画一の男性社員率および平均年齢(推定ですが)を誇っています。女性や若い人が多い中、ひとつ特徴でしょう。

上記2点を考えると、組織の事をアピールする手段となったのだと思います。

2.組織開発であり、リトマス試験紙である

東京大学の中原先生が組織開発の視点からまとめを行っています。NAKAHARA-LAB.NET 東京大学 中原淳研究室 – 大人の学びを科学する: 「恋するフォーチュンクッキー」社員ダンスはどう解釈できるのか?:1粒で2度美味しい「PV公開を通した組織開発」である!?

確かに、この動画を作る事により「組織の中の人のつながりを強くし、組織の凝集性を高めることができる」という、組織開発としての側面があるでしょう。

私としては、もう一つの視点もあるのではないかと思います。それは、組織開発のその前段階として、ある程度の組織の「しなやかさ」を判定するリトマス試験紙としての役割が強いような気がします。例えば、若手社員がこの動画を作りましょうと言ったとき、その意見がどの程度上まで行くでしょうか。また、若手が勝手にやっちゃえるでしょうか。この動画を作れる組織がよい組織で、作れないから悪いというような話ではなく、この動画の裏には、「これやっちゃったら面白そうだけど、うちの組織ではこんな事提案してもムリだから、そもそも話をする事も止めておこう」という自制も生じていると思います。

また、一方でトップダウンでやってみたものの、あまりに社員が乗り気でなく止めた、というケースもありそうです。楽しい雰囲気を伝える事が目的にも関わらず、やらされ感満点の動画になってしまったら、本末転倒です(それは、それで見たいですが)。また、トップがやるぞと言い出したときに、「それダサくないですか?」と言える事もひとつのしなやかさだとも思います(今回の動画は私はダサいとは思いませんが)。

動画を踊る事が組織開発として機能するという面と、踊る前にある程度の組織のしなやかさを見極める内容がある気がします。

3.想像以上に広がった

1ヶ月前の時点から、どんどんと動画が増え始め、昨日時点で16本がアップされています。昨日アップされた神奈川県の動画は、本当に気合いの入った動画だと思いました。ちょっとした「ノリ」ではありません。海外の事例も含めこういった動画やフラッシュモブなどは、ある程度の「ノリ」で押し切るものと、完全に本気で作り込むようなものが人気を集めているようです。恋チュン動画も本気で作るというものが出てきた印象です。しかし、それが必ずしも完全に正解かというとそうでもない所が面白いです。猪名川町バージョンは、全てスマートフォンで作られていますが、それが味となってでているのではないかと思います。作り込んでも良いし、手作りでもそれなりに作れる。そんな緩やかさが広がった要因ではないかと思います。

スクリーンショット 2013-10-19 10.13.26

最後に

1ヶ月細々とアップし続けましたが、こんなにも広がるとは思ってもみませんでした。2013年のひとつのムーブメントとして位置づけられるような気がします。
どうでしょう、皆さん実は踊りたくなっていませんか?

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この記事を書いた人

産業能率大学情報マネジメント学部 准教授 橋本諭(はしもと さとし)。
研究テーマは、ソーシャルビジネス、人材育成を扱っています。

橋本 諭

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