グループワークとは、みんなで集まって話し合う事「だけ」ではない!!

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 先日、ある他大学の学生さんに相談された事がありました。それは、「グループワークは、(授業以外にたくさんの)時間が取られてしまうのでイヤなのですが、どうすれば良いでしょうか?」というものです。

グループワーク=集まる事 ?

 話を聞いてみると、グループワークとは「メンバーが集まって話合うもの」と捉えているようです。「グループワーク=集まる事」という認識があるが故に、とりあえず集まろう、そして話をしようとなるのだそうです。しかし、全員がノープランでやってくるので、話し合いが全然進まないと。

 たしかに、グループでただ集まって話をしていたとしても、大抵のアイデアなどは、30分くらい話せば出尽くしたりします。後は、煮詰まって「どうしようか?」という困り事になったり、ふざけたりの雑談として時間が過ぎていくことになります。一番まずいのは、「何となく、2時間ぐらい話し合ったから、私たち頑張っているよね? 」という努力とか根性とかの話にすり替わっていくことです。

 特に最近は、ITツールが発達している訳ですから、そういったものを使いこなせば、物理的に集まる時間というのを少なくすることも可能です。そしてデジタル世代でもある彼らは、もちろん、LINEだとかSkypeだとかは使っているようですが、それでも「それはそれ」という傾向のようです。

グループの意義

 グループで集まる事は、とても大切な事です。これが否定される事はないでしょうし、否定するつもりもありません。むしろ、グループで集まる時間というのは、極めて貴重であり、大切にすべきだと考えています。メンバーが集まって意見を出し合う、方向性を決める、その場で様々な事を確認する、仲間意識が醸成される、といったグループが集まる事の意義は数限り無くあります。

 その時間を「前提知識を得ることに費やす」、「わからない事を調べる時間」、「とにかく資料にする時間」とかに費やすべきではないと考えています。では何が必要かといえば、それは「個人ワーク」にあります。

個人ワークの必要性

 個人でやるべき事は個人で行い、それを持ち寄ることでグループで集まる時間をどれだけ有意義なものにできるかが「グループワーク」の成果を握っていると考えます。しかし、どうもグループワークがうまくいかない学生達は、全員で「とりあえず集まる」という状況があるようです。とりあえず集まって、話し合って、決める。準備がなくして進むはずがありません。全員がグループのために貢献する意識を持ち、きちんと分担した個人ワークをこなしているとするならば、グループで集まった時の意義はより高まるのだと考えます。

 さて、前述の学生さんには、「宿題」としての個人ワークを出してみるのが良いのではとアドバイスをしました。話し合いと話し合いの間は、個人ワークを行い、それを持ち寄り次の話し合いを行う。そして、周りのメンバーは初めはやってこないかもしれないが、少なくとも自分は個人ワークを必ずやってくる。そこから初めてみてはどうだろうかと。これが素晴らしいアドバイスで、全てを解決すると言うわけではありませんが、少なくとも現状からは改善するのではないでしょうか。

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 以前であれば、グループで何かに取り組むこと自体がイヤだという学生が課題になっていましたがそういうタイプではありません。むしろ、グループワークに積極的に関与し、課題に対してきちんと考え、グループに貢献しようと行動するタイプのようです。しかし、「嫌気がさしてしまった」というのが実情でしょうか。とにかく「集まって話合う時間が長い」と。

 もし、グループワークが嫌いとか、苦手だなと思っている人がいれば、それはもしかしたら、グループワークが嫌いなのではなく、「長い時間(無為に)話合う」という事が嫌いなのかもしれません。グループワークの進め方を見直してみると良いかもしれません。少なくとも、ただ集まる事がグループワークではありません。そして、良いグループワークでは、個人では得られなかった成果が得られると思います。ぜひ、それを味わって欲しいと思います。

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授業設計において、グループワークの設計は非常に難しいので、その話は別の議論としてあると思います。そして、私ができているかもまた別の話です。また、グループにおいて集まった時の議論を活性化するための手法もたくさんありますが、それもまた別の話であると考えています。

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この記事を書いた人

産業能率大学情報マネジメント学部 准教授 橋本諭(はしもと さとし)。
研究テーマは、ソーシャルビジネス、人材育成を扱っています。

橋本 諭

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