#AI時代のコンヴィヴィアリティ 報告書まとめ

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橋本ゼミでは、毎年テーマを決めて研究活動を行っています。2023年度は、ChatGPTなどの生成AIが話題になっていたこともあり、#AI時代のコンヴィヴィアリティ をテーマとしました。毎年11月の学祭において研究発表を行い、そこから更に調査を進め報告書としてまとめています。

今年度の報告書がまとまりましたので、まとめの記事を作成しました。

AI時代のコンヴィヴィアリティ

AIは日進月歩で進化しています。数ヶ月前の情報はすでに化石のような状況です。

しかしながら、それを使う人間はそれほど進化するものではありません。慣れることはあると思いますが、生物学的な進化のようなものはありえない訳です。そんな中、どう慣れていくのか、つまりどうAIと共存していくのかを考える上で、イヴァン・イリイチによるコンヴィヴィアリティ(自立共生)を参考に、特に「第1の分水嶺」と「第2の分水嶺」を鍵に考えていくことにしました。

イリイチは、ある道具が人間の役に立つ段階を「第1の分水嶺」と呼び、その後道具が進化する中で人間にとって害悪となってしまう段階を「第2の分水嶺」と呼びました。

私達は、AIはすでに「第1の分水嶺」を超えていると判断し、日進月歩の進化の中で「第2の分水嶺」を超えてしまうのではないか? もし超えてしまうとしたらどんなことがあり得るのか? を考えていくことにしました。

具体的には、AIと共存することを考え、徹底的に利用者として使ってみるということを行っています。そして、想像しうる中での極端な使い方を行うようにしました。

全体像

どんな活動を行ったのかは、以下の記事でまとめています。

自分たちにとっても試行錯誤の中で取り組んだ内容を、インタビュー形式でまとめています。

AIで理想の恋人を作る

極端な使い方の一つとして、画像生成AIを使って理想の恋人を作ろうという企画を行いました。メンバーはプロンプトを様々な工夫することにより、来場者の希望に沿った画像を生成できるようになっていました。

その過程で「オノマトペ」に着目した記事がこちらです。

プロンプトエンジニアリングと呼ばれるものですが、オノマトペがどう反映するのかについて考察しています。

AIに占いをやらせてみよう

もう一つ極端な使い方として、AIに占いをやらせてみるというものを行いました。

ChatGPTを使って手相占いをやってみました。こちらは、同じ手の画像を入力しても、そのときによって回答が異なるなど占いとしては精度が高くありません。もちろん、ChatGPTの原理的にも占いができるとは考えにくい訳ですが、来場者は「当たっているかも」のように占いとして信じるような反応を示される方がいらっしゃいました。

そこから、なぜだろうと考察したものが以下の内容です。

そして、ChatGPTをチューニングすることで本当に手相占いができるようになるのでは?と追求してみたものが次の内容です。

AIは相談相手になるか?

近しい内容として、ChatGPTに相談を持ちかけてみるということも行いました。こちらももちろん相談に乗ってくれている訳ではありませんが、それっぽい回答が返ってきます。さらにそれっぽさを高めて見たらどうなるか?を考えたのが次の内容です。

AIによる画像認識をエンターテイメントにするには?

画像同士が同一人物かどうかを判定するAIを用いて、来場者に楽しんでもらうコンテンツを制作しました。

本来とは違う目的ではありますが、敢えて使ってみることでわかったことを考察しています。

地域の活動

橋本ゼミでは、一つの軸として地域との連携も行っています。

https://myplayfultown.hashimoto-lab.com/

その一環として、地域の獣害問題、そして流行になっているジビエに関連して、伊勢原で取れた鹿肉を使ったジビエカレーを販売しました。

食べて応援 地域の町おこし -阿夫利山荘鹿肉カレー-
日本全国規模で問題になっている獣害。その一方でブームになっているジビエ料理。この2つの関係について調べました。その結果、伊勢原における問題と、その問題に向けて取り組んでいる方々がたくさんいることが見えてきました。 今回お話を伺ったのは、「株

1食1000円という価格でしたが、100食を超える売上を記録し、生産者や市の観光協会の方より「過去最高記録であり、信じられない」といった反応を頂きました。

そして、この獣害やジビエについて更に調べた内容が以下のものです。

おわりに

冒頭でも述べたようにAIは進化のスピードが早く、すでに過去の情報になっているものもあるかもしれません。それでも、やってみることでわかることはたくさんあったなと思っています。

現時点で第2の分水嶺を超えているかどうかは断言できません。しかし、車が交通事故を起こしてしまうように使い方を誤ると弊害が出ることは間違いないと思います。

AIの進化にどう共存していくのかは、今後ともに課題であると考えます。

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この記事を書いた人

産業能率大学情報マネジメント学部 准教授 橋本諭(はしもと さとし)。
研究テーマは、ソーシャルビジネス、人材育成を扱っています。

橋本 諭

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