目次
はじめに
私たち橋本ゼミは、2023年度の瑞木祭で「AI時代のコンヴィヴィアリティ」をテーマにそれぞれが生成AIを活用したコンテンツを提供し、中でも私はChat GPTを活用した「AI手相占い」を企画・提案しました。
私がAI手相占いを企画・提案をした背景として、AIが人間を操作する第二の分水嶺について考えたとき、占い師と占いを妄信している人の構造に近いものを感じました。
占いの中でも手相占いを選んだ理由としては、手相占いには根拠とされるものがあるからです。「生命線が長いと長生き」など、手相占いには科学的根拠ではないと思いますが、信ぴょう性のある根拠を提示することができるからです。
また、人間の感性で行ってきた占いを、理性で構築されているAI(Chat GPT)で再現することの面白さを見出したのも理由の一つになります。
この記事では、手相占いとAIがどのよう結びついているのか、あるいは、どのように融合しているかを探ります。
AI手相占いとは
AI手相占いとは、Chat GPTの機能である画像認識と文章生成を利用したコンテンツです。
そもそもChat GPTとは、会話型の文章生成AIでプロンプトと呼ばれる指示文を入力することにより、返答をもらうことができます。
下の画像はChat GPTにAI占い師という役割、手相の解釈をもとに占い師のような出力を依頼するプロンプトです。
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画像のように役割・目的・出力を詳細に設定することにより、自分が欲しい出力を出すことが可能です。
次に実際にAI手相占いをするとどのような出力が得られるのかを紹介します。
![](https://www.hashimoto-lab.com/wp-content/uploads/2024/02/2b530e80c7d0de90885e285c5d798063-1.png)
![](https://www.hashimoto-lab.com/wp-content/uploads/2024/02/c8856789ec11ab8b1013037cef6929f9.png)
手の画像を入力することにより、手相の解釈と洞察の出力を得ることができました。
入力された手の画像を認識、GPTの知識と照合しGPT独自の解釈を行います。その後、占い師のような文章として出力しています。
生命線を占うGPTの精度
では、このAI手相占いがどの生命線を認識できているのか、生命線の特徴を解析できているのかその精度を明らかにしたいと思います。
AI手相占いの精度を明らかにするため、私は生命線の情報に特化したGPTのモデルを用意しました。生命線に関する情報のみを多く与えることで、生命線に関する出力がより詳しく、深くなると考えたからです。
検証の第一段階として、まずChat GPTが生命線を認識しているのかを明らかにしたいと思います。
はじめに、私の手相を生命線に特化したGPTモデルでAI占いをしたいと思います。
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上記の通り、GPTは私の生命線を認識・分析し生命線に関する占いを出力しました。
次に私が編集した下の画像を占わせます。
![](https://www.hashimoto-lab.com/wp-content/uploads/2024/02/94ed160662be198949535a112047e9b4.jpg)
このように、生命線を図形で隠すことによりGPTが本当に手相を認識し、占っているのかを検証したいと思います。
![](https://www.hashimoto-lab.com/wp-content/uploads/2024/02/f4a1b0aed5dc02442c433030ff24c031.png)
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画像の通り、GPTは手相の位置を認識しているということが分かりました。反対に黒塗りの部分も正確に認識しているということが分かりました。
次に、図形の色を黒から、私の手の色に近い色に変更して検証したいと思います。
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検証結果は、私の予想とは反対に問題無く占うことができてしまいました。検証結果から、GPTの画像認識による占いは人間の占い師と同じような分析は出来ないということが分かりました。
この結果から、新たな疑問が浮かび上がってきました。
GPTは手相の位置を認識しているにもかかわらず、“生命線がしっかりとしており、手のひらの中央に向かって大きく伸びているように見受けられます。”という出力を出すことができたのか?という疑問です。
私たちヒトの目には線が映っていないにもかかわらず、GPTは何かしらの線を認識しているということです。そこで私は、GPTは画像の辺の部分つまり、画像と私の手の境界を生命線(手相)として認識したのではないか、ということに気が付きました。
![](https://www.hashimoto-lab.com/wp-content/uploads/2024/02/b1db37a1df6c6332fc8bdf704e9d1e49-800x908.png)
赤線の部分を手相と認識したのであれば、“生命線がしっかりとしており、手のひらの中央に向かって大きく伸びているように見受けられます。という出力は間違っていないということが分かります。
結果として、GPTの画像認識機能は手相の位置、長さ、形を大雑把に認識できる一方、手相の質感や不自然な手相など細かい部分は認識できないということが分かりました。
考察と今後の展望
検証結果から、現状のChat GPTでは人間の占い師のように正確に占うことは不可能だということが分かりました。しかし、この結果は知識不足によって引き起こされる問題ではなく、カメラの性能や、画像認識AIの精度による問題だと考察できます。
現状、Chat GPTの文章生成機能は、現段階でも占い師のような出力ができており、カメラの性能や、画像認識AIの精度を上げ、手相を正しく認識することができれば、人間の占い師以上に正確な占いができるようになると私は考えます。
まとめ
今回、瑞木祭を機会に、AI・Chat GPTによる手相占いの可能性を探求してきました。実際のところ、正確に手相を認識しているのではなく、手相の大雑把な特徴から占い師のような文章生成するというのが現状のAI手相占いです。この部分さえ克服することができれば、占いの分野において、AIが人間を淘汰するのには時間はかからないと私は考えます。
執筆:橋本ゼミ12期 宮里礼