目次
はじめに
みなさんは誰かに相談をしたことはありますか?
相談をするとは「問題の解決のために話し合ったり、他人の意見を聞いたりすること。また、その話し合い」とされています。例えば、誰かに悩み事を打ち明けてそれに対しての解決策を一緒に考えるといったことがあります。瑞木祭ではAI相談と題して文章生成AIであるChatGPTに悩み事を相談してみようということをやってみました。この記事ではAIに相談するということはどういうことなのかについてChatGPTを成り立たせている技術であるLLMの仕組みを出しながら説明します。
LLM(大規模言語モデル)とは?
まず、LLM(大規模言語モデル)について説明します。
LLMはコンピュータが処理する仕事である「計算量」、コンピュータに入力した文章データの情報量である「学習データ量」、ディープラーニング技術に特有のパラメータ(確率計算を行うための係数の集合体)の豊富さを指す「モデルパラメータ数」の3つが著しく巨大化することにより急速に進化していきました。
さらに、2020年にOpenAIが発表した「Scaling Laws for Neural Language Models」という論文では「計算量」「学習データ量」「モデルパラメータ数」の大きさと予測精度の間には「べき乗則」が成立すると提唱されました。

(「Scaling Laws for Neural Language Models」https://arxiv.org/abs/2001.08361)
このグラフから学習するデータの量やモデルのサイズ、データ量を上げていけば予測精度が上がっていくということが分かります。そしてこちらの上限がまだ見えていないため性能は上がり続けるとされています。
このことからLLMはインプットである学習データを著しく巨大化させたことにより様々なアウトプットができるようになったモデルになっていることが分かります。
本当にAIに相談をしている?
上記のLLMの説明からChatGPTは学習データをインプットしているため答えがある問いに強いということが分かります。
ですが、実際にAI相談と題して相談を行ってみると「彼女を作る方法は?」「学年が1つ離れている人とどうやって仲良くなればいいの」といった人間ですらどう回答すればいいかわからない答えのない質問が多かったのです。

AIはこのような質問に対してもそれっぽい答えが返ってきました。
ですが、これはAIにした相談の答えなのでしょうか
一般論をデータとして収集しているためAIが質問に答えているのではなく第三者の答えを示しているという点が挙げられます。
ということは私たちがChatGPTに対して行った相談はChatGPTからの返答ではなく第三者が回答した一般論の返答を写しただけではないかということが分かります。このことからAI相談というのは成り立っているといえるのでしょうか?
どうして相談している気分になるのか

友達として出力したプロンプト

おじさんとして出力したプロンプト
今回ChatGPTで友達とおじさんの2つのバージョンでプロンプトを作ってみました。
実際に瑞木祭で友達として相談に答えてくれるプロンプトとおじさんの性格で相談に答えてくれるプロンプト(以下おじさんプロンプト)を作ってみてお客様からの反応を見ると、おじさんプロンプトの方が相談するまでの障壁がないように感じました。
それは口調から感じられる明るさに理由があると考えます。人間の第一印象は3秒程度で決まるといわれています。一度興味を持って立ち寄ってみるとおじさんプロンプトは明るい口調や語尾につくカタカナや「アセアセ」といった言葉に親しみやすさやどのような回答が返ってくるか興味が湧き、ちょっと相談してみようかなという気にさせられることが要因であると推察しています。
このようにプロンプトでどのような設定にするかを指定するとそれにあった性格や口調で回答を生成してくれるようになります。
人間は相談をする際に相談相手の階級や性格を気にして「この質問はしてはいけないかな?」「この内容は共感してくれなさそう」といったように質問内容を考えている節があると思います。それだけでなく相談相手側も答える時に相手の対応に気遣うことをして本音を吐けない、言い返すことができない場合もあります。ですが、AIはそうではありません。どんなことを聞いても回答が返ってくる安心感、階級のことを知らないフラットな関係で話せるため返ってくる言葉が辛辣であっても相談側も納得して飲み込むことができる点、第一印象だけでなく相談をする中でも明るい口調や親しみやすい単語などを用いて本来は感情があるわけではないChatGPTですが、感情が含まれているように感じる点の2つが相談している気分になりやすい理由であると考えます。
まとめ
今回、瑞木祭でAI相談と題してChatGPTによる相談を行ってみましたが、AI自体の回答ではないという点から考えるとAI相談とは呼べないものであることが分かりました。ですが、相談は行ってくれるためある意味では人間を救ってくれる存在にもなり得ます。AIの言っていることを全部鵜呑みにしてはいけないと思いますが、このツールの使い方のラインをうまく定めることができれば様々な分野で応用ができるのではないかと感じました。
執筆:橋本ゼミ12期生 佐藤大斗
<参考文献>
「大規模言語モデル」参照日2023年12月15日

「LLMとは?ChatGPTとの違いは?ビジネス活用方法・種類・代表サービスを徹底解説!」参照日2023年12月15日

「生成AI、対話型AI、LLMは何が違う?」参照日2023年12月15日

「一流研究者による大規模言語モデルの解説がわかりやすい」参照日2023年12月15日