チャレンジしやすい状況を作る力

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May 24, 2014 at 0226PM

何か新しい事をするとき、当然失敗する事が良くあります。明確に「失敗だ」と言い切れないが「成功してはいない」と言った意味では、ほとんどのモノは失敗に終わるのではないでしょうか。「まあまあだったよね」というのは、言い換えればやはり失敗だと思います。

その失敗が悪いのではなく、敢えて失敗するぐらいの気概を持って取り組まなければ、得られるものは少ないのでしょう。チャレンジするというのは、失敗する事とほぼほぼイコールだと思います。

しかし、失敗すると言うことは当然批判を受ける事でもあります。「だから言っただろう」とか「ほれ見たことかというような空気」は当たり前のようにおきます。失敗する前には現れなかった人まで現れたりします。きっと、批判をしたい人や、批判をする事で優位に立ちたい人なのでしょう。悲しいことですが、こういう人はいるものです。失敗する度に、心に少なからず傷を負うので、新しいチャレンジはしにくくなります。

一方で、ずっとチャレンジし続けられる人もいます。一概にこういう人と言える訳ではないのですが、私の経験上チャレンジし続けられる人は存在します。仮に同じ打率だとしても、打席に経つ数が多い方がヒットの数は多くなるはずです。結果として、成功する数が多い。

あるチャレンジし続ける方に学生時分に伺った事があります。「どうすれば、チャレンジし続けられるのですか?」と。その時、こんな事を教えてもらいました。

「チャレンジしやすい状況を作る努力をしていますよ」と。

もちろん、一言一句同じという訳ではありませんが、このように受け取りました。
この方は、外資系の企業で長くお勤めの方でしたが、「上司に気持ちよく仕事をしてもらうようにする」、「同僚にも成果をシェアする」、「人が嫌がる仕事を率先して行う」というような、ある意味で「当たり前?」と思う事を努力して行うとのことでした。ステレオタイプな外資のイメージからすると「逆なのでは?」と一瞬思いました。

一見、チャレンジするというと、「おらおらおら」と周囲をなぎ倒して行くイメージがあったのですが、その方(女性)は物腰柔らかなタイプです。

外資一般に言える事ではないと思うけどと前置きをした上で「日本企業以上に、上司に嫌われたら仕事はできないわね」と言われ、「上司に応援してもらえる環境を作る事は大切よ」との事でした。

「マネージングアップ」という言葉があります。これは、部下の側が上司をうまく管理していくといったような意味です。このマネージングアップを行う事が大事なのですよ、との事でした。

当時の自分には、その内容はほとんど意味がわからなかったのですが、最近それは確かに「チャレンジしやすい状況を作る努力」なのだと感じています。チャレンジする事で生じる悪影響をできる限り減らすようにする。少なくとも私には「おらおらおら」と行くよりも、成功する可能性を高めるような気がしています。

上司に楯突いて、意見して、「だからダメなんだ」と溜飲を下げる。確かに一瞬、気分が良いです。しかし、そういう人は失敗したときに「待ってました」とばかりに反感を買います。「あいつは、他人に厳しく自分に甘いタイプだ」とか、「口だけだ」とか影で言われる訳です。当然、次のチャレンジがしにくい状況になるわけです。こうしてチャレンジする人から「批判だけする人」ができあがるのかもしれません。

「そんなチャンスをつぶすような組織が悪い」と言うこともできるかもしれません。しかし、「やりたい事をやるためには、環境を作る事までコミットしなきゃね」と言うことをこの女性は仰ったことを思い出します。

部下からの批判など上司であれば受け止めて当然だと、上司に聖人君主のようなものを求めるような姿勢は、ただ部下側の「甘え」なのかもしれないなと思います。

甘えを排除して、引き受ける事がチャレンジし続けるためには、大切なのかもしれないなと思っています。今では、この女性。実はものすごく芯の強い方なのだと思います。

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この記事を書いた人

産業能率大学情報マネジメント学部 准教授 橋本諭(はしもと さとし)。
研究テーマは、ソーシャルビジネス、人材育成を扱っています。

橋本 諭

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