ゲーミフィケーションって本当に良いことづくめ?

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はじめに

皆様は学校からの下校の際、道路の白線の外に出ないように渡る遊びをしたことはありますか?「下校」という行為自体は全く楽しいことではなくても、この遊びは楽しいと感じることがあったはずです。普段であれば退屈、価値を見出せないといった行動にオリジナルのルールを追加するといったゲーム性を持たせる理論のことをゲーミフィケーションと言います。2010年代、日本でも一時期バズワードとして注目されました。注目されたきっかけはデジタル技術の発展が大きな要因として挙げられます。もちろん他にも様々なきっかけはありますが、ゲーミフィケーションを用いてビジネスなどを行う上でデジタル技術は大きな存在となっています。現在では勉強など様々な分野に応用することで、あたかもゲームで遊んでいるかのように物事に集中できるという事例が出ています。

今回はそんな魔法のようなゲーミフィケーションのメリットとデメリットを事例を出して説明します。

ゲーミフィケーションとは?

まずゲーミフィケーションという理論について解説します。ゲーミフィケーションについては様々な定義が出されていますが、共通しているのは「ゲーム要素を活用して、能動的に人を行動させる仕組み」(日本ゲーミフィケーション協会HP)のことです。

ゲーミフィケーションのフレームワークとして提唱されているものに「Octalysis」というものがあります。

「Octalysis」はゲームの面白さを8つの観点から分析しています。プレイヤーに自身が選ばれた存在だと意識させて自ら参加を促す「意味」の要素。また、目標を設定し、クリアすることで自身の進歩を実感させる「達成感」の要素。さらには質の良いものを多く所持したいという「所有」の要素や読めない展開の中で次に何が起こるかを知りたいと思わせる「予測不可能性」の要素などがあります。(【ゲームの叡智】ゲーミフィケーションの意味とは?顧客ロイヤルティを高める極意を解説)これら8つの要素をコンテンツに取り入れることでゲーミフィケーションを活かしたコンテンツを作り出すことが可能になります。

ゲーミフィケーションの活用例

英単語学習アプリ「ターゲットの友」がゲーミフィケーションのよい例です。このアプリは英単語帳と連動しており、クイズ形式で学んだ英単語の復習を行えます。ただクイズを行うだけではなく、そのスコアがランキングに表示され、単語クイズにクリアしていくたびに自らのアバターの見た目が変わっていきます。また、クイズも1問ごとに正解か不正解かのフィードバックが即座に行われるため、気軽に受けることができます。このような気軽に、ついやってしまいたくなるようなゲームの仕組みがこのアプリにはあると考えました。

 

問題数が10問の4択問題になっている。時間内に正解するとタイムボーナスがもらえる

正解数、ボーナスポイント、自分のこのテストにおける全国ランキングを確認できる

テスト単位ではなく、通算や月間のランキングなども閲覧可能

ゲーミフィケーションって良いことづくめ?

一方でゲーミフィケーションはモチベーションを上げる反面で知らず知らずのうちに操れてしまうかもしれないという危険性も含みます。具体的にはくら寿司の大きな特徴である「ビッくらポン」のシステムが該当します。ビッくらポンとはお寿司皿を5枚集めて洗浄口に入れるとあてくじゲームが始まり、当たるとおもちゃがもらえるというサービスです。現在ではお皿ではないサイドメニューもお皿としてカウントされており、どの商品でも食べれば食べるほどおもちゃがもらえる可能性が高くなります。しかし、このサービスはお寿司5皿分食べないと始まりません。よって満腹だったとしても「せっかくだからあと1皿」という具合に客単価を伸ばすことができます。企業から見れば立派なマーケティング戦略と言えますが、客側からしたらゲーミフィケーションを活用したサービスに操られたと捉えることもできます。このようにゲーミフィケーションを活用することで場合によっては、人に損をさせることができてしまうのです。

ゲーミフィケーションを善く使う

 ここまでゲーミフィケーションにおける危険性について解説していきましたが、その上でゲーミフィケーションを善い方向に使うということに触れます。ゲーミフィケーションは「目の前の目標に向かうためのモチベーションを高める」であったり、「短期的な目標達成」には効力を十分に発揮できます。しかしそのシステムの影響で長期的な目標がかすんでしまったり、見失う可能性もあります。それを理解したうえで自分だけならまだしも故意的に他者に使ってしまうとその人にとって悪影響を及ぼすのではないでしょうか。それらを加味したうえで取り入れる必要があると考えます。

まとめ

 ゲーミフィケーションを取り入れることで日々の生活に楽しさを加えることができますが、同時に危険性もあります。さらに自身の生活を振り返ったときにやる気があるからと他人にいいように使われている、なんてこともあるかもしれません。ゲーミフィケーションを用いる際は向き合い方を考えるべきだと感じました。

参考資料

“ゲーミフィケーション”が進化した先にもたらされる未来とは。立命館大学主催のオンラインセミナーをレポート https://www.4gamer.net/games/999/G999905/20221018052/ 公開日2022年10月21日 著者内藤ハサミ

【ゲームの叡智】ゲーミフィケーションの意味とは?顧客ロイヤルティを高める極意を解説 https://asu-yoku-laboratory.com/gamification 更新日2022年8月2日 著者なお

回転寿司にもゲーミフィケーション!「くら寿司」のビッくらポン https://g-dx.jp/archives/19 更新日2020年10月18日

しあわせな未来は「ゲーム」が創る 著者ジェイン・マクゴニガル 監修者 妹尾堅一郎 訳者 藤本徹、藤井清美

執筆:橋本ゼミ11期生 福本順也

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この記事を書いた人
橋本ゼミ生

産業能率大学情報マネジメント学部橋本ゼミに所属するゼミ生です。

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