”超福祉”から考える『アタリマエ』の見直しと『自分の強み』の捉え方 カフェゼミ#59参加記録

この記事は約10分で読めます。

11月30日(木)、渋谷ヒカリエ8階において、法政大学長岡研究室による「カフェゼミ#59」が開催されました。

私は今回、2回目の参加として、カフェゼミに参加させていただきました。

前回の模様はこちらから↓

今回のテーマは「みんなでダイバーシティ社会のキャリア・ストーリーを聞こう」。今回は、福祉の観点から、「アタリマエ」を揺さぶる体験ができました。その記録と感じたことについて、まとめていきたいと思います。

田中さん及びピープルデザイン研究所の取り組み

今回のカフェゼミにゲスト講師として登壇されたのが、渋谷を中心とした活動を行っているNPO法人「ピープルデザイン研究所」の代表理事である、田中真宏さんです。

ピープルデザイン研究所は、主にマイノリティ(少数派)の方々を対象に、支援を行っている団体です。研究所の名前である「ピープルデザイン」とは、心のバリアフリーをクリエイティブに実現する思考と方法論を意味します。

ピープルデザイン研究所
ピープルデザイン研究所の公式サイト。

「ピープルデザイン」を軸として、この団体では、「障がい者」や「認知症含む高齢者」等のマイノリティの方々を対象に、「モノづくり」「コトづくり」「ヒトづくり」「シゴトづくり」の4つの領域を通した上で、社会課題の解決策や提案に取り組んでいます。

代表的な取り組みとしては、2014年から2020年にかけて、渋谷ヒカリエにて開催された「超福祉展」がありました。

この展示会では、ピープルデザイン研究所が考案したクリエイティブな福祉器具に触れる体験ができるというものでした。

2020年、渋谷。超福祉の日常を体験しよう展
2020年、渋谷。超福祉の日常を体験しよう展

「超福祉」に込められた意味は、”アタリマエ”を揺さぶられるものだった。

前述した「超福祉展」ですが、この「超福祉」には、実は重要な意味が込められています。

簡潔に述べると、その意味は、普通の人も障がい者の方もお互いに「混ざり合う」社会のことであり、従来の「バリアフリー」「ダイバーシティ/インクルージョン」よりもさらに上の領域になることです。

私たちは、これまでに、障がい者の方と関わる機会があったと思います。

中には、身内や親しい人にも、そういう方がいらっしゃる人もいるでしょう。

そして、多くの方は、その障がい者に気を遣うことが多いのではないでしょうか。

それ自体は、決して悪い事ではありませんし、人としての優しさであると思います。そして、ある意味での「アタリマエ」として浸透している部分だと思います。

ですが、気を遣ってもらうことは、誰しもが「気を遣ってもらって悪いな」とややマイナスに感じる時があると思います。つまり、それは障がい者にとって、必ずしもプラスに感じられる場面ではないのです。また、福祉器具のデザインによっては、障がい者に対して「カッコ悪い」イメージを持ってしまうということも起こり得えます。これもやはり、プラスの意味での福祉ではないと言えます。

では、全員にとってプラスに感じられる「福祉」は、どういうものでしょうか?

ここに、「超福祉」の考えがあります。

例えば、義手の場合、無機質で地味なデザインだと、「大変だね」等、相手のことを気遣う考えが生まれると思います。

では、この時、義手のデザインがギターをイメージしてみたものだと、どうでしょうか?

それを見た子供たちは「かっこいい」と思う子もいるはずです。

車いすも、今までのようなデザインよりも、近未来のイメージだったり、スタイリッシュなデザインになると、「大変そう」よりむしろ、「かっこいいなぁ…」と思えるかもしれません。

このように、デザインを変えることで障がい者の方でも、「すごいなぁ」「良いなぁ」と普通の人に感じてもらうことができるのではないか。

ピープルデザイン研究所の掲げる「超福祉」とは、まさにこの考えのことです。

「障がい者の方でも、その障害をむしろ、「強み」として輝くことができるのが、「混ざり合う」社会ではないだろうか。」

「超福祉展」ではそのような考えのもと、多くの福祉に関する器具が展示されていました。

展示
展示一部の製品は渋谷ヒカリエ 8F「8/」COURTでも展示中

「アタリマエ」だと感じていることは、揺さぶることで、別の良い方向が見えてくるかもしれない。

今回、私は2回目のカフェゼミに参加させていただきましたが、田中さんのお話とピープルデザイン研究所の取り組みから、「アタリマエを揺さぶる」というカフェゼミのメッセージを、少し読み解けたのではないかと思いました。

田中さんの取り組んでいる活動は、私たちが福祉に感じていたネガティブなイメージを、ポジティブなイメージにしようとする活動でした。それも「既存のものを改善しよう」という活動に留まらず、「福祉はもっと魅力的にできる」という福祉を根幹から考え直されたものでした。

もちろん、これらは田中さんの考えであり、中には、「ちょっとこれはどうなんだろう?」という意見もあるかと思います。人によっては、「障がい者を見せ物にしているのではないか?」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。また、どのような障害を抱えているか、どれくらい重度な障害を抱えているかによって、この取り組みはあまり意味を成さないものになる部分もあるかと思います。

田中さんも賛否両論は承知の上で、活動されているとお話されていました。

ただ、田中さんの根幹にある考えは、「普通の人と障がい者の間にある強固な線引きは本当に良いものなのか?」というのがあります。

「障がい者だから」という理由で区別するのではなく、「障がい者」でも同じ人間として接していく方が良いのではないのか?という考えがありました。

だからこそ、相手が障がい者でも、「もっとカッコよくできるよ」という考えで行っている「超福祉」は、相手が障がい者でも、「障がい者だから」という線引きを無くしたものになっています。そういう意味で、「混ざり合う」というのもあります。

このように、線引きを無くこと=「アタリマエ」を揺さぶることに、大きな意味があるのではないかと思います。それを踏まえると、私は田中さんはすごい人だと感じました。

マイノリティ(少数派)を理解すること

私は、障がい者が「マイノリティ(少数派)」であるという点が、「アタリマエ」を揺さぶる上で重要ではないかと考えました。

マイノリティの方は、その人たちにしかわからない苦労や大変なエピソードが多く存在します。なぜなら、「わかってくれる人」がとても少ないからです。

だからこそ、周囲から嫌な目で見られたり、自分自身は何も悪くないのに、相手に対して「申し訳ないな」と感じてしまうことがあるのです。

そのため、マイノリティの方は、それを感じさせないように、自分の弱み(コンプレックス性)を隠すことが多いのです。

そして、マイノリティの方は、障がい者に留まりません。認知症を含む高齢者、国籍が違う方、LGBTの方、子育て中の母親など。いわゆる「普通じゃない」と括られがちな人は、皆同じ問題・悩みを抱えているはずです。

マイノリティの方が、このような悩みを抱えずに、生きていける社会、「ダイバーシティ社会」とは、どのようなものなのか?

その一つの考えとして、自分たちのコンプレックスを「隠す」のではなく「魅せる」ものであると掲げているのが、田中さん及びピープルデザイン研究所による、渋谷中心の取り組みとなっています。

ピープルデザイン研究所
ピープルデザイン研究所の公式サイト。

弱み(コンプレックス性)は強みになる

このように、田中さん及びピープルデザイン研究所は、マイノリティの方が感じていた「弱み(コンプレクッス性)」を、「魅せる」ことで強みに変えられるという考えのもと、活動をしてきました。

田中さんの活動の中にあった「弱み(コンプレックス性)を強みに変換すること」は、マイノリティの方以外でも、当てはまることではないでしょうか?

私の話になりますが、

私は、昔から「ちょっと変わっているよね」「やばい奴だよね」と言われ、周囲から距離を置かれることがありました。決して私自身が何かのマイノリティだったわけではありませんが、「普通(マジョリティ)」とは違う要素が強くありました。それらは、特に「周囲と違う」ことで孤立しやすい中学・高校の時期に多く感じました。

そのため、その時期は、自分の周囲と違う部分(狂気さ)をあまり表に出すのではなく、隠すことで、「合わせる」をよく考えていました。(隠しきれない時もありましたが)

その後、

私は大学に入り、「橋本ゼミ」に入ってから、この状況に少し変化が起きました。

自分の中の「ちょっとやばい奴」が、ゼミ生や橋本先生からちゃんと指摘してもらえるようになったのです。

おかげで、なぜ自分が「ちょっとやばい奴」だったのかが、少しずつわかるようになりました。

そして、その中にある自分の「狂気さ」は、「拘ることができる」という自分にしかない「強み」でもあるのだと、橋本先生からは教えていただきました。私が学園祭で取り組んだ活動から、それを見出してくださったようです。

現在は、そんな自分の「ちょっとやばい奴」のには、良くない所も多くあるので、しっかりと改善しつつも、その中の「自分の強み」になるところを、今後どう活かすのかを常に考えながら、日々を過ごしています。

私がここで、自分の「ちょっとやばい奴」に気づけたのは、ゼミ生のみんなが教えてくれたからです。ゼミが今までよりそういうことが言える距離感に縮まったのもありますが、それ以上にゼミ生の優しさがあるのだと思います。

同時に、それが「自分の強み」になることを教えてくれたのも、橋本先生のおかげでした。

これは、マイノリティの方の弱み(コンプレックス性)を、「超福祉展」を介して「魅せる」ものとして発信した田中さん及びピープルデザイン研究所の活動も共通している部分があるのではないでしょうか?

もちろん、マイノリティと呼ばれる方々のコンプレックスと、普通の人たちが抱えているコンプレックスは違う種類だと思います。前者の方が、周りから理解してもらえないことが多かったり、望まずにそうなってしまったなど、厳しい環境を経験されている方が多いと思います。また、後者については、自身で気を付ける必要もあることです。

ですが、田中さんの活動の中にある「弱み(コンプレックス性)を強みに変えることができる」という点は、マイノリティに属さない人でも、その点は共通のものであると思います。

もしかしたら、この記事を読んでいる人の中には、まだ自分の弱み(コンプレックス性)に苦しんでいる人もいるかもしれません。転勤の中で育った、とっても不器用など、様々な要素があると思います。ですが、転勤族であれば「全国に交友関係が広い」。とっても不器用なら「一つ一つのことを丁寧に行うことができる」という強みが隠されているはずです。

自分が持っている「弱み(コンプレックス性)」は、活かす場所によっては、自分の最大の強みになるかもしれない。

これを心にとどめておく事で、「アタリマエ」を揺さぶる時に、より良い方向に繋がると思います。そして、ピープルデザイン研究所が発信したい「混ざり合う」という根幹の考えは、こういうことではないかと私は思います。

まとめ~2回目のカフェゼミで得られたもの~

今回で2回目のカフェゼミ。

今回は「アタリマエ」だと思っていたことが、実は改善できるものだったということを感じられるお話を聞けました。

ですが、今回のカフェゼミ「アタリマエ」を揺さぶる経験はもちろん、その先として、「だからこそ実現できること」について考えさせられました。

「アタリマエ」を揺さぶることで、より良い方向に繋がるかもしれない。-

その「アタリマエ」は、今回の話で言うと、「弱み(コンプレックス性)」は「隠す」ものではなく、「魅せる」ことができるものであるという考えに結びつけることもできました。

そう思うことで、脱予定調和式の「カフェゼミ」で学ぶ意義は、より深いものになり、ダイバーシティ社会への理解が大きく深まるのではないでしょうか。

そして、マイノリティの方の気持ちに、少しでも寄り添えるきっかけになるのではないかと思います。

2回目の参加にして、新たな考えを得られたカフェゼミ。

次の機会でもまた参加しようと思います。

執筆:橋本ゼミ11期生 三宅央二郎

member blog
シェア
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
最新情報をお届けします。
この記事を書いた人
橋本ゼミ生

産業能率大学情報マネジメント学部橋本ゼミに所属するゼミ生です。

橋本ゼミ生をフォローする
産業能率大学 橋本ゼミ
タイトルとURLをコピーしました