【SDGs12】服に対する意識足りてる?

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はじめに

 みなさん、こんにちは。11期生の牛島・芳賀です。

今回、私たちの学年は瑞木祭において、10年間の橋本ゼミでの活動について調べました。

その中で2017、2018年に取り上げられていたテーマ「SDGs」について興味を持ちました。2017、2018年ではあまり気にされていなかったことにも現在は注目されるようになったと感じます。この記事ではどのようなことが注目されているのか掘り下げていきます。

SDGsとは

 以前に比べSDGsという言葉はいろんな場所で聞くようになりました。流行りの言葉、環境に良さそうなものなどのイメージではありませんか?ここで再確認していきます。

外務省のSDGsに関する記述は以下の通りです。

持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)とは,2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された,2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいます。

これを一度整理します。

上図のように17の目標が掲げられています。これらは2015年に国連サミットで採択された、2030年までに果たすべき「持続可能な開発目標(SDGs)」です。

持続可能な開発目標は発展途上国から先進国まで世界全体が目標としているものです。国や団体が行えばいいものではなく、私たち一人ひとりがSDGsを自分事として考え行動することが大切です。

これらがSDGsの主な内容となっています。その中でもSDGs12「つくる責任 つかう責任」に着目しました。

SDGs 12「つくる責任つかう責任」

 限りある地球の資源を守るため、持続可能な生産と消費のバランスを形成することを示した目標です。この目標が掲げられた大きな理由は私たちが生産・消費・廃棄活動を通して、地球の資源を使いすぎているからです。

SDGs目標12「つくる責任、つかう責任」とは?事例や私たちにできること:【SDGs ACTION!】朝日新聞デジタル (asahi.com)

SDGsと向き合う

今回は私たちの身近な服に着目し、SDGsについて考えていきたいと思います。私たちの服の消費の始まりが多いのは「買う」という行為であると思います。購入時のSDGsとしてできることを見ていきましょう。

①購入時

皆さんは今までに「エシカルファッション」という言葉を聞いたことがありますか?

日本では2010年代から注目度が上がっていたとされています。

消費者庁のエシカル消費の認知度調査が行われ、2016年度が6.0%、2019年度には12.2%となりました。このデータからも認知度が2倍以上に上がっていることがわかります。しかし、2019年度でも12.2%であることに加え、私たち自身もエシカルを知りませんでした。そこで今回は購入時において、エシカルファッションに着目しようと思います。

〇エシカルファッションについて

1990年代に「環境・社会問題を引き起こさない、むしろ解決策となる倫理的なファッションを」という意識が広まりました。その後、2004年にフランスでエシカルファッションショーが行われたことをきっかけにヨーロッパを中心にブームが起こったとされています。

このようなエシカルファッションには以下の基準があります。

<エシカルファッションの基準>

100か国以上の6000以上の団体・個人が加盟している、2004年に設立されたエシカルファッションの推進団体The Ethical Fashion Forumでは、エシカルファッションの基準を下記のように記しています。

  1. Countering fast, cheap fashion and damaging patterns of fashion consumption(ファストファッション、安い使い捨て型のファッション消費に反する)
  2. Defending fair wages, working conditions and workers’ rights(生産において労働者の賃金、権利、労働環境を守っている)
  3. Supporting sustainable livelihoods(動植物の持続可能性をサポートしている)
  4. Addressing toxic pesticide and chemical use(有毒農薬や化学薬品の使用の問題に取り組んでいる)
  5. Using and / or developing eco- friendly fabrics and components(環境に優しい素材を開発、または使用している)
  6. Minimising water use(水の使用量を最小限にしている)
  7. Recycling and addressing energy efficiency and waste(リサイクルやエネルギー問題、ゴミ問題に取り組んでいる)
  8. Developing or promoting sustainability standards for fashion(ファッションにおけるサステナビリティを作りだし、それを広めようとしている)
  9. Resources, training and/ or awareness raising initiatives(新たな取り組みを人々に知らせ、解決策を広めようとしている)
  10. Animal rights(動物の権利を保護している)

エシカルファッションの基準とSDGsを照らし合わせてみると、2番目の労働環境を守るということはSDGs1「貧困をなくそう」という目標にあたり、7番目のリサイクルなどを取り組むことはSDGs12「つくる責任、つかう責任」にあたります。このように、エシカルファッションの服を購入すればSDGsに繋げることができると考えられます。

ですが購入方法を考えれば良いだけなのでしょうか。私たちはもう一つ着目できる点があると考えました、それは「手放すとき」です。

②手放す時

もう着ない服を皆さんはどのように手放していますか?

捨てていますか?、それともまだ使える状態であれば寄付をしているかもしれません。

「SDGsのため、発展途上国のため、着なくなった服を集めています・寄付しませんか?」などと耳にしたことはないでしょうか?それをきっかけに寄付をしたことがある方もいるかもしれません。

これらが本当に持続可能な社会に繋がっているのか皆さんは考えたことがありますか?

 

私たちはこの点に疑問を持っていたところ、『あなたとSDGsをつなぐ「世界を正しく見る」習慣』という本に出会いました。

ここからはこの本で得た知識を基に服の寄付について考えていきたいと思います。

〇寄付の現状(『あなたとSDGsをつなぐ「世界を正しく見る」習慣』より)

実態

・日本から24万トンの服が毎年輸出されている
・これらの古着は途上国から、最終的には多くがアフリカに辿り着く
・ウガンダ共和国では日本円で1枚6円程度で売られている
・ガーナに輸入されている衣服の約4割が埋立処分

問題

・アフリカが古着の「最終処分場」とされている現実がある
・先進国から安価な古着が大量に流入してくることで、現地の商売の成長が妨げられている
・アフリカの国々が自国の繊維産業を守るため古着輸入を禁止しようとしても、アメリカから貿易制裁のプレッシャーをかけられ失敗

 背景:古着が海外で販売されないとアメリカ国内での埋立地に行きつき環境破壊、国内で多くの失業者が出る

まとめ

・服の寄付は善意で行っていること。善意で行っていることが誰かを苦しめていることは気づきにくい
・先進国側の固定概念が原因にある

〇まとめ

このような現状があり、服の寄付は必ずしも全てが持続可能な社会につながっているとは考えにくいです。

③改めてSDGsを考える

ここまで服を通してSDGsを見てきて何か感じたことはなかったでしょうか。

私たちは、「SDGsは難しい」と素直に感じました。こうしてSDGsを見てみると、自分が良いと思ってやっていたことが、逆に相手を苦しめているのかもしれないと感じるようになりました。ここから解るのは、私たちは知識を持っている必要があるということです。

私たちの服の活用の考え

 汚れやシミが原因で手放したいと考えた時はありませんか。そのような時に提案したいのが服のリメイクです。あえて切ってみる、染色をしてみるなど比較的手軽にすることができます。リメイクすることで世界に一つだけの服になり愛着も湧きます。手放す前にリメイクできないかと一度考えてみてください。

 これまで購入時と手放す時について考えてきました。これまで紹介したもの以外の方法としてもう一つ私たちは提案したいと思います。それは最近流行っているサブスクリプションサービスのひとつであるファッションレンタルです。これは月額料金を支払いすることで服が借り放題になるものです。ファッションレンタルは洋服のシェアリングを通じてお得にファッションを楽しむだけでなく、洋服の大量生産・大量消費による環境破壊をなくしエコロジーを推進していくことができます。これは環境省も推奨しており、服を購入せずとも楽しみながらSDGsに貢献することができます。

 ですが、私たちはこの方法が広がることが本質的なSDGsに繋がるとは言い難いとも考えます。ファッションレンタルは衣服の配送に加え返却が必要であるためCO2の増加に繋がってしまうことや、サステナブルであるからいくらでも試してよいという意識付けをしてしまうなどの問題もあります。また、このファッションレンタルは本当に捨てられる服が減っているのでしょうか。このように、サステナブルであるとされることも本当にSDGsであるのか考えなくてはなりません。やはり「SDGsは難しい」のです。しかしこのファッションレンタルは、服が好きで自分の服を増やしすぎて処分に困ってしまう人がSDGsを意識するときにはじめの一歩としておすすめできるサービスであると私たちは考えます。

最後に

服を通してSDGsを考えてみると「SDGsの実行は簡単ではない」という現実が見えてきます。我々にできることは、SDGsに対する知識を身に着け、新たな情報を取り入れながら試行錯誤しながら実行していくことであると考えます。

参考文献

SDGsとは? | JAPAN SDGs Action Platform | 外務省 (mofa.go.jp)
SDGs目標12「つくる責任、つかう責任」とは?事例や私たちにできること:【SDGs ACTION!】朝日新聞デジタル (asahi.com)
環境省が推奨する「サステナブルファッション」を広めるため、「Rcawaii」専属スタイリスト付き服の借り放題サービスが、初月無料キャンペーンを実施中!洋服のシェアリングを通じて環境破壊の防止に貢献。|グラングレスのプレスリリース (prtimes.jp) 
着られなくなった服どうする?サステナブルな着方&手放し方|ELLE ACTIVE! for SDGs|ELLE [エル デジタル]
2021.あなたとSDGsをつなぐ「世界を正しく見る」習慣. 原貫太(「あなたとSDGsをつなぐ「世界を正しく見る」習慣」 原 貫太[ビジネス書] – KADOKAWA)

執筆:橋本ゼミ11期 牛島まどか 芳賀美和 

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この記事を書いた人
橋本ゼミ生

産業能率大学情報マネジメント学部橋本ゼミに所属するゼミ生です。

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