AI音声の「娯楽的価値」と「意思疎通的価値」

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1. はじめに

こんにちは。橋本ゼミ11期生の三宅央二郎です。みなさん、AI音声と、そのサービスである「CoeFont」をご存じでしょうか。2020年にサービスが開始されてから、少しずつ浸透しています。

今回は、AI音声及び「CoeFont」という新技術の持つ「価値」を、学園祭での実演や新たな調査をもとに考えていきます。

2.AI音声合成及び「CoeFont」とは

AI音声合成は、特定の「声」をAIに対して自らの口で発して、「声=データ」として送ることによって、AIの深層学習により、元の声質に近いものを作り上げて再現できる技術です。

「CoeFont」は、そのAI音声合成サービスの中でも、最低でも500円と始めやすいのが特徴です。その使いやすさから、学園祭でAI音声技術を示す際に活用しました。なので、今回は「CoeFont」をメインに述べていきます。

さて、この「CoeFont」ですが、学園祭で活用する際、「AI音声にはどのような価値があるのか」という疑問が学園祭の準備期間に浮かび上がりました。新しい技術であるために、明確な価値付けはまだありませんが、自分はある二つの価値に注目しました。

3-1. 瑞木祭で実演した「娯楽的価値」について

一つ目は、「娯楽的価値」です。

例えば、「おしゃべりひろゆきメーカー」のように「西村博之氏の声」で、本人が言わなそうなことを言わせて、視聴者を楽しませる動画等がわかりやすいです。

学園祭では、この「『知っている人の声』で何か言わせる遊び」を実演しました。

具体的には、ゼミ担当教員である橋本先生から、自身の声のデータを提供してもらい、当日、ゼミのブースに来訪した人に、「橋本先生のAI音声」で喋ってほしいことをリクエストで受付け、それをゼミ生が入力して喋らせる実演をしました。これにより、橋本先生が普段は言わない面白いことを言わせる「遊び」的な使い方をする人が多くいました。「おしゃべりひろゆきメーカー」が、みんな西村博之氏を知っているからこそ楽しめように、今回の実演も、OBや学生などの「橋本先生を知っている」からこそ楽しめる「おもちゃ」としての「娯楽的価値」を感じてもらえました。

3-2. 瑞木祭での反省点

一方、ゼミで「CoeFont」を担当した人にとっては、元の声と比べて「発音・イントネーション」を忠実に再現できなかったことが反省点として残りました。

私たちは、「CoeFont」による落語やラジオ風の娯楽的なトークも目指していましたが、その段階には到達できませんでした。短期間では使いこなすのが難しいからです。私たちが目指したことには、「もっと余裕を持って『CoeFont』を使いこなすこと」が必要でした。

3-3. 瑞木祭では到達できなかった「娯楽的価値」の在り方

「CoeFont」では入力した言葉の発音・イントネーションを調整することが可能で、それらも使いこなせる段階になると、違う角度の「娯楽的価値」として、「おもちゃ」から「提供者」になります。

例えば、声優のオーディオブックを「CoeFont」を導入した娯楽的事例があり、「声優」としての娯楽提供者になりつつあります。

3-4. 使いこなせば、「娯楽的価値」でAI音声を知れる

また、使いこなせるようになれば、「CoeFont」が持つ「娯楽的価値の提供」を切り開くことに繋がります。例えば、AI音声落語を成功させた人のクオリティが、個人利用に留まらず、娯楽の提供としてお金を得るに値するレベルなら、「CoeFont」の「ビジネスプラン」以上のサービスを使えば、商用利用も可能になり、より注目されるようになります。ここで「CoeFont」を使っていることにも注目が集まり、それがきっかけで多くの人に「AI音声」「CoeFont」を知ってもらう機会にもなります。

このように、私たちは「CoeFont」を使いこなし目指す上では、娯楽的価値を持つ「AI音声」という技術を、「CoeFont」というサービスで知ってもらうということを意識する必要がありました。それが来訪者にとって「AI音声」という技術に「触れる」きっかけにもなるからです。

4.自分の元の声だからこそ成り立つ「意思疎通的価値」

また、新たに調べて、「自分の声質」である点が、AI音声の「意思疎通的価値」を見出していました。

例えば、病気により、声帯の摘出手術をせざるを得ない状況になった際、あらかじめ「CoeFont」で自身のAI音声を作れば、術後、自分の身体で声を発せずとも、自分のAI音声でこれまで通りの意思疎通ができた事例があります。これは「Siri」のような機械音声と比較してAI音声は意思疎通における違和感が軽減されます。

また、ペットを飼っている人にとっても効果が大きいと考えます。猫も犬も「飼い主の声の聞きわけ」が可能なため、ペットとのコミュニケーションで、声を失くした飼い主にとっては、大きな手助けになり得えます。

このように、自分の声がもう出せない人にとっては、恩恵を多く受けられるという点で、「意思疎通的価値」があります。

5.最後に

今回は、AI音声の「CoeFont」の「価値」を二つ取り上げました。私たちの実演では「おもちゃ」として、その先には「提供者」にもなれる「娯楽的価値」があり、もう一つ、他の機械音声では代替できない「意思疎通的価値」もありました。使いこなせば、この二つ以外にも価値が見えるはずです。

参考URL

Company – 株式会社CoeFont (yellston.com)
「ネコは飼い主の声を聞き分ける」 東大調査に「確かに」「犬より律儀」の声: J-CAST ニュース【全文表示】
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執筆:橋本ゼミ11期生 三宅央二郎

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この記事を書いた人
橋本ゼミ生

産業能率大学情報マネジメント学部橋本ゼミに所属するゼミ生です。

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