夢を追いかけることのコストと続けられてしまうリスク

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 先日、大学のときのバイトのメンバーと久しぶりに集まりました。飲み会です。昔話をいくつかしていた際に、ふと「いつも、小説を書いていたおじさん」のことを思い出しました。私のバイトは、ファーストフード店だったのですが、朝決まった時間にやってきて、決まった場所で小説を書いている人がいたのです。そういえば、あの人はどうしたのかな? とふと思い出しました。

 年齢はいくつくらいだったのでしょうか。多分、自分よりも少し上だったので、25歳と28歳位だったのではと思います。当時は、随分と上のように思ったのですが、30歳も半ばを過ぎた身からすれば、「若い」ですね。彼は、小説家になれたのでしょうか? その後のことはよく知りません。

 さて、そんな飲み会の帰り道、「彼はいつまで夢を追いかけたのか」と頭をよぎりました。当時は、夢がある人なんだなと思いましたが、私自身が当時の彼の年齢を通り過ぎた今、夢を追いかけていられる期間は有限だったということに気付きます。

 2017年現在、一人で生活していくコストは極めて安くなっていると思います。スマホさえあれば特に不自由はしないですし、実家に住んでいれば、月に数万円あれば生きていけるでしょう。海外と比べてみても飲食費などは本当に安いです。バイトの時給は、1000円を超えるでしょうから、生きていくのに必要な額は稼げるでしょう。

 実は、夢を追うという行為自体は、覚悟を要するものではなくハードルが下がってきているのかもしれません。

 ですが、その一方で年齢を重ねた場合のリカバリーは難しい。新卒一括採用は新卒には優しい仕組みですが、既卒者には今でもやっぱり厳しい。年齢が重なればなおさらでしょう。

 そう考えると、夢を追い続けることと、夢を諦めることでは、諦めることの方がハードルが高くなっているのかもしれません。継続する力は一般に評価される力ですが、「続けられてしまうこと」はリスクにもなります。

 全体的にみると、いい時代になったのだと思います。一方で、冷静に自分を見つめることが必要なのでしょう。それは、ある意味ではとても残酷であり、それ故必要なことなのかもしれませんね。

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この記事を書いた人

産業能率大学情報マネジメント学部 准教授 橋本諭(はしもと さとし)。
研究テーマは、ソーシャルビジネス、人材育成を扱っています。

橋本 諭

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