人間関係が続くことを前提とした行動ができる人 人間関係におけるゴーイングコンサーン

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 ゼミとしてプロジェクトを運営したり、その他でも仕事をする上で大切だと思っていることとして、「人間関係が続くことを前提とした行動」というものがあります。

 例えば、数ヶ月間のプロジェクトがあったとします。プロジェクトの関係者とは、その数ヶ月間は非常に密なコミュニケーションをとりますが、プロジェクトが無事終われば関係性は薄くなることが一般的です。場合によってはほとんどなくなります。

 そうした時、プロジェクトが終わった後にも「人間関係が続くものとして捉えているか、そうでないか」によって、プロジェクト中に取り得る行動は変わってくると考えています。人間関係が続かないと考えている人は、とにかくプロジェクトが終われば良いという発想からか、自己中心的な行動になってしまうように感じます。特に、お金を出す側、上下関係などを露骨にだしてきてしまうなと思います。

 前職時代、ある上司と共に某行政機関に共に出向いたことがあります。その時、その上司は庁内の至る所で挨拶をされていました。

 「○○さんお久しぶりです。その節はお世話になりました」

 という具合にです。「公務員の方々は概して異動が多いので、長年仕事をしているから知り合いが増えただけ」だというような事を上司は語っていましたが、それ以上のものを感じました。きっと、プロジェクトが終わっても人間関係が続くことを前提として行動していたのだろうなと。

 マネジメントの用語に「ゴーイングコンサーン」と言うものがあります。

会社が将来にわたって事業を継続するとの前提をいい、ゴーイングコンサーン(going concern)とも言います。
企業の経営破綻などを背景として、平成15年3月期から、継続企業の前提に関して経営者と監査人(公認会計士・監査法人)が検討を行うことが、監査基準の改訂等により義務づけられました。
経営者及び監査人が継続企業の前提について検討対象とする事象・状況としては、債務超過等の財務指標、債務返済の困難性等の財務活動、主要取引先の喪失等の営業活動、その他巨額の損害賠償負担の可能性やブランドイメージの著しい悪化などです。
東証:用語集 継続企業の前提

 企業においては継続こそが信用の前提となっています。これが崩れてしまえば、取引をすることは当然のごとく難しい。人間関係においても同じだと考えます。一つには、自分ないし相手が今後も社会的に生きていくことを前提とした基盤ができていること。もう一つは、人間関係が継続することを考えの前提として持っているかだと思います。前者は、(私など語る資格を一切持っていませんが)時間や約束を守ること、結果を出すことといった行動でしょう。そして、後者が今回書いた内容です。

 私の場合で言えば、学生との関係です。今、この瞬間、在学している時間だけを考えていれば、年齢差もありますし、学生は経験が乏しいですから言いくるめることもできるでしょう。しかし、5年後になった時にごまかしたことはきっとバレると思っています。学生との関係が今後も続くことを前提として捉えていると、発言一つに気を使います(使ってました、これでも)。いや、それ以上に「発言しないこと」が問題になると思います。短期的な関係であれば、いわない方が楽ですから。
 
 この3月でゼミの1期生が卒業していきます。ホッとした気持ちが10%と、これからが彼ら、彼女等にとっても本当の勝負であると共に、私にとっても勝負だなとの思いが90%です。人間関係が続くことを前提として(続かないことの怖さと共に)、生きていって欲しいなと思っています(もちろん、今のゼミ生に対しても同じ事を思っています)。

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 PS:今日の話題、自分ができているかと言われればかなり怪しいですし、数々の不義理をしてきたのですが、だからこそ自分への戒めも込めて書いてみました。

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この記事を書いた人

産業能率大学情報マネジメント学部 准教授 橋本諭(はしもと さとし)。
研究テーマは、ソーシャルビジネス、人材育成を扱っています。

橋本 諭

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