共同作業が正しい!? 内向型人間について知るきっかけに 2014年度プロジェクト報告書

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はじめに

今回クリエイティブコンフィデンスを取り戻す体験型ゲームを橋本ゼミで作りました。その中で私たちはクリエイティブコンフィデンスを取り戻すための一つのきっかけとして「内向型人間」をゲームの謎に組み込みました。内向型人間といわれてもはっきりわかる方は少ないと思うのでこれから内向型とゲームに組み込んでいった理由などを説明していきたいと思います。

内向型とはなにか

今回私たちのチームが取り組んだ課題図書は「内向型人間の時代 社会を変える静かな人の力」です。まず、内向型人間とは何かというと刺激の強い生活を好まない人々のことを指します。決して内気な人が内向型というわけではありません。
みんなの輪から離れて一人でいたり、外でスポーツをしているより、家で本を読んでいる方が好きだという人はいないでしょうか?

私は内向型と対になっている刺激の強い生活を好む外向型であると思っています。そして創造性を生み出す人というのは外向型のような活発で刺激を求めるような人が生み出すのではないかと思っていました。しかしこの本を読んで考え方が変わりました。
内向型でも創造性は作り出せる!
内向型の考え方や特徴などを次に紹介していきます。

内向型人間の特徴

内向型の人々は決して思い付きだけで発言したりすることはありません。発言する前にまず「この発言は適切なのだろうか?」と考えたうえで発言をします。そのため、グループワークなどをしても周りの人たちから見れば「あの人は何も考えていない」、「話し合いに全然参加してくれない」と思われていることが多いです。内向型の人々も周りの人たちより発言する機会が少ないことを自覚しているためグループワークを好まないとされています。
では、内向型の人はチームを引っ張ることつまり組織のリーダーには向かないのではないのかという疑問が出てくると思います。しかし、世界には内向型の人間でも大きな組織を率いる素晴らしいリーダーもいます。例えば、アメリカのオバマ大統領、マイクロソフトのビル・ゲイツらも内向型といわれています。彼らのような内向型のリーダーに共通しているのは、部下の発言に耳を傾ける、部下を適材適所に配置して組織にとって最大限の力を発揮させます。そして内向型の人が組織を率いるうえで最も重要なことは部下が能動的に活動することです。部下からの意見を聞き入れてくれるのでリーダーからの助言を受け入れやすい環境であり、より一層部下が能動的に活動する有効な循環を作り上げているからです。
では先ほど紹介した外向型との違いについて比較していきたいと思います。

外向型との比較

外向型と内向型をグループワークの中において比較してみます。
外向型の人間はグループワークにおいて積極的に発言するとともに、その発言の信頼性がたとえ50%だとしても100%の自信をもって発言すると記述されています。それに対して内向型の人間は発言する際にはその内容をよく吟味したうえで発言するため、先ほど記述したように「あの人は何も考えていない」というように思われてしまうのです。
そのため、たとえ外向型の人間が間違えた指示・発言をしたとしても100%の自信をもって発言しているため内向型の正しい意見が流されてしまう場面もしばしば起こってしまいます。

外向型がリーダーとして最も力を発揮しやすい環境は部下が受動的な人たちであることです。外向型の指示に反論などはせずに指示に従うためです。今回の課題図書の文中の実験において外向型の人間は部下からの意見を聞きにくいという実験結果が出ています。それがたとえ良い意見だったとしてもです。以上のことから外向型にとって好ましい環境は受動的な人間の上に立つということになります。それに対して、内向型は部下が能動的な人間に囲まれた環境において能力を発揮しやすいのです。内向型の人間は部下からの意見に耳を傾ける傾向があるからです。リーダーとしての決定権を持ちつつ、部下のいい意見を積極的に取り入れる傾向があるため今後の世の中は内向型のリーダーが筆頭となっていくのではないかといわれています。

クリエイティブコンフィデンスを取り戻すゲーム内に内向型を取り込んだ理由

それでは、今回のクリエイティブコンフィデンスを取り戻すゲームの中に内向型を取り込んだ理由を説明します。クリエイティブコンフィデンスは本来どのような人間の中にも存在しているといわれています。それは内向型の人間でもです。
しかし、世間一般では内向型の人間は外向型より劣っているという考え方をされています。(外向型>内向型)その理由は現在グループワークなどの共同作業が主流となっている社会の流れが出来上がってしまっているためです。しかし、「内向型人間の時代」の著者であるスーザン・ケインは現在のグループワークなどの共同作業には否定的でした。グループワークによっては個人の意見が多数の意見に流されてしまう場面もあります。そのため著者は共同作業が個人の創造性を奪ってしまっていると述べています。つまり、個人で考え抜いたものこそが質の高い創造性を生むのだと述べています。内向型の人間でも創造性は作り出せるということを伝えるために今回私たちはクリエイティブコンフィデンスの中に内向型を取り入れる理由となりました。

内向型人間に関連したゲーム内容

内向型人間に関連したゲームは、グループ内のランダムに割り当てられた人にやってもらうことにしました。その理由は一人で考えてもらうためです。該当者は、別途チェックシートを渡し、書いてある謎を2問解いてもらいます。

スライド1

スライド2

1つ目の謎はチェックシートの中に隠されています。
「僕が好きなのはサロペット。フランス語です。」答えはオーバーオール。気付かない人のためにヒントとして「チェックシートをよーく見てみてください。」と促しました。
2つ目の謎は椅子の下に隠されています。
「トマト ポスト 消防車」答えは赤。ヒントとして会場内に「脚より上お尻より下の場所に謎がある。」という張り紙をしています。
最初から書いてある「もも」。謎の答えである「オーバーオール」「あか」から連想されるキーワードは「マリオ」です。

今回のチェックシートに載せている問題については、単なるなぞなぞレベルの問題です。しかし、表にバッテンのついたマスクを着用してもらい、メンバーとしゃべれないという設定をしました。その設定自体が、内向型人間の特徴を示し、ゲームを通じて体験してもらいたかったのです。

今回の問題で参加者に伝えたかったこと

現代の社会を考えてみてください。多くの企業では組織としての活動を促し、学校ではグループ学習を進める傾向が強まっています。しかし、時には共同作業が創造性を殺してしまう場面が存在するのです。
まず喋らないという制限を付けたことで、強制的に一人で考える空間をつくりました。グループワークは重要ですが、一人で考えることも大切であると考えます。
内向型が成功する要因の一つに一人で考え抜いたものがやがて自分にしかない創造性に繋がっていくとかかれています。これを参加者に体験してもらって内向型について理解してもらう・内向型でも創造性は作り出せるということを伝えたかったのです。

著者がこの本で伝えたかったこと

内向型人間は全人口の3分の1から2分の1いるといわれています。自分だけではないのです。
内向型人間でも創造的なものは生み出すことができます。実際に内向型人間でもカリスマと呼ばれる有名な人間はたくさんいます。最近ではグループワーク等全員で物事を考えることが多くあります。この時に仕切ったり話し合いを進めていくのは大体外向型の人間です。内向型の人間は黙ってしまい話し合いに参加できないことがある。周りからは冷めた目で見られてしまいがちですが、本当はしっかり考え自分の考えを持っているのです。
この本を読むことで内向型人間の特徴を理解し、自分が内向型人間だと思ったら自分のことを新しい観点で見ること。外向型人間だと思ったらこういう人もいるのだと知って理解してくれたら良いと思います。

メッセージ

「もっと自分の考えに自信を持ってほしいのです」
私はこの本に出会ったことにより一人で考えることについて自信を持ちました。グループワークではあまり自ら進んで発言することはほとんどありませんでした。それは悩みでもありました。しかし内向型人間の特徴を知ることで私のしていることは間違えではないと確信しました。なので皆さんも自分の考えに自信を持って取り組んでいってほしいと思います。

執筆
坂本 大樹
吉澤 大志

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