2013年瑞木祭体験型ゲーム「みらい郵便」の活動記録

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この報告書は、2013年瑞木祭で行った「みらい郵便」のまとめを行ったものです。

活動の意図

私達のプロジェクトでは教育要素を取り入れた「体験型ゲーム」を作成し、参加者に対して「楽しみながら学ぶ」場を提供することを目的に活動しました。

ゲームの内容

「みらい郵便 ?あなたの思い どこまでも届けます」

登場人物の紹介

このゲームは、2013年の瑞木祭を舞台として、主人公の「西条誠」と幼馴染の「椎名優香」、未来に存在する「みらい郵便局員」で構成されています。

『西条誠』

2015年時:25歳(就活失敗によりフリーター)
2013年時:22歳(大学四年生)
椎名優香とは、幼馴染。
昔は頑張っていたが大学生になって以降努力することが無くなった。
想像以上の鈍感で、優香の想いに気付くことができなかったが、誠自身も優香に想いを寄せる。

『椎名優香』

2015年時:25歳(介護士)
2013年時:22歳(大学4年生)
西条誠とは、幼馴染。努力家。
誠に対して想いを伝えてはいるものの、ことごとく失敗。
疎遠になって間もなく他の男性と付き合い、プロポーズを受けたが誠に対する気持ちを拭いきれずにいる。

『みらい郵便局員』

未来に存在する公営郵便局日本みらい郵便局で配達を担当している。
過去未来問わずに郵便物を届けることができる。
未来の誠からの手紙を瑞木祭参加者に届ける。

『瑞木祭参加者』

2013年の瑞木祭来場者。
誠からの手紙を受け取り、優香が残したメッセージを誠のために探し出す。

『ゼミ生等展示者』

瑞木祭において展示物を展示した方々。
優香の謎を解く上での重要な情報を持っており、様々な教室にいる。

ストーリー

2015年の10月10日に主人公である「誠」のもとに、幼馴染の「優香」から結婚をする、という手紙が届きます。そして手紙の中には、「2013年の瑞木祭の時にメッセージを残しておいたのに気付かなかったのね」という内容が記されていました。

誠は、2013年の瑞木祭には確かに参加しましたが、今となっては何も思い出すことができずにいます。唯一記憶に残るのは、「録音サービスを体験してくる」と、瑞木祭当日に優香と交わした一言だけでした。

誠は優香が録音サービスを利用し、そこにメッセージを残したのではないのかと考えたものの、今更気が付いた所でどうすることもできません。とにかく一刻も早く優香の存在を忘れようとするものの、忘れようとすればするほど優香との思い出が蘇ってくるのです。誠は「あの時告白をしておけば良かった」と思うものの、当時の誠は幼馴染という関係を選んだのでした。その結果が、優香が他の人と結婚してしまうということ。只々後悔の念に駆られています。

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そんなとき、≪「あなたの想い どこまでも届けます」みらい郵便≫と記された広告チラシが目に入ったのです。そこに記されていた内容は、
1.現在・過去・未来問わず、郵便物を配達するということ
2.自分自身に直接郵便物の配達を行うことはできないこと
3.利用できるのは一度きりだということ

「タイムスリップの様なことができるはずがない」と否定的な考えしか思い浮かびませんでしたが、2013年の瑞木祭で「優香」が残していたメッセージとは一体何だったのかを知るために「みらい郵便」を利用したのです。

そして、過去に戻ることのできない「誠」から、みらい郵便局員を通じて2013年の瑞木祭来場者に、<幼馴染が残したメッセージを探し出してほしい>という依頼の手紙が届けられました。瑞木祭の来場者は、優香が残したメッセージが何か分かるでしょうか。また、それを誠に届けることはできるでしょうか。

仕掛け

こちらが来場者に配布した「西条誠」からの手紙です。 表面には、2人の関係と電話番号(現在は使用できません)、裏面には4つの暗証番号の記入欄と「優香」が残したメッセージの記入欄が記されています。このポストカードが謎を解くワークシートになっています。

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「優香」が残したメッセージを見つけ出すためには、2つのアクションが必要でした。
1つ目は、橋本ゼミの各研究展示の掲示物のそばにある感想を記録した紙の中から、「優香」の残したメッセージをもとにヒントを探し出すことです。

そこには、数字を使用したクイズや言葉の中に隠された言葉を見つけ出すといった仕掛けを施しました。また、ヒントは橋本ゼミ内だけでなく、同じフロアの他のゼミ内にも仕掛けられている構造となっており、他ゼミの研究発表にも足を運んでいただくことを考慮致しました。

2つ目は、そのヒントから暗証番号となる4つの数字を見つけ出し、ポストカードに記された電話番号に電話をし、録音サービスのメッセージを聞くことです。

なお、そのメッセージを未来にいる「誠」に伝えるためにみらい郵便局員に手紙を送り返し、無事「誠」のもとへ届いたならばゲームクリアとなります。そして、「みらい郵便局員」から未来の二人の行く末が提示される仕掛けとなっていました。

椎名優香が残した謎と暗証番号

こちらが「椎名優香」が残した謎とヒントの一部です。研究展示物を「椎名優香」が見た感想がヒントとして記されている感想記入シートを様々な場所に配置しました。ここからヒントを見つけ、答えとなる問題を解くようになっています。

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「西条誠」にメッセージを残しているのは、「椎名優香」なので、図の椎名優香の言葉の部分を注目すると、「ペアワークの作業、初めての人でかなり戸惑ったけど、何とか頑張れた」とあります。そこで、「2」という数字がヒントという設定です。

今回のゲームでは、学園祭で展示している各研究展示を見せると言う目的もあり、クイズでは、問題を解くことに時間がかかり、作業意欲を低下させてしまうことを考慮し、このような簡単なものにしました。

そして、全ての謎を解くと4桁の番号が出てきます。

デジタル的仕掛け

録音サービス

4桁の番号は、実際に録音サービスに電話をした際の暗証番号になっています。電話を掛け、4つの暗証番号を入力することで「椎名優香」の残したメッセージを聞くことができます。
録音に関しましてはゼミ生に、プログラミングは橋本先生にご協力頂き(橋本追記:Twilioというサービスを利用しています)、作成致しました。なお、間違った番号を入力するとメッセージは聞けないので、参加者は自分で合っているか間違っているかを判断することができます。

ARを使った仕掛け

ゲームのエンディングでは、ARと言う技術を使いエンドロールを表示しました。ARとはAugmented Realityの略で、日本語では拡張現実と呼ばれています。たとえば、スマートフォンのカメラを通して見た“現実”の世界に、CGキャラクタなどの“拡張”情報を重ね合わせて見ることで、まるで現実世界にキャラクタが存在するように感じることができるという技術です。(『AR&LIFE』warstyleより)今回私たちはCARKCHOというスマートフォンアプリを利用しました。

私達は最初に配ったポストカード上に、ARを使い動画を再生するようにしました。その動画は、誠と優香の未来を記したものです。

AR技術を組み込んだ意図

AR技術を組み込んだ意図は、「みらい郵便」と言う未来の設定を行っており、未来感を演出することを考え活用しました。ゲームでは、エンディングとしてみらい郵便局員が提示するスマホで、手元の手紙を見ると映像が表示される仕掛けとなっていました。ただのポストカードで、しかも最初から持っていたポストカード上に映像が流れることで、本当に未来からの映像だと感じてくださった方もいました。来場者にゲームを面白く体験してもらうことができたのではないかと思います。

瑞木祭当日のメンバーの動き

当日のプロジェクトメンバーは「みらい郵便局員」に扮してストーリーの説明を行い、ポストカードを来場者に配布をしました。来場者が問題を解いている最中、答えがわからない人がいれば、プロジェクトメンバーが駆け寄り、ヒントを与えます。最終的に答えが分からない場合には、回答に導く手立てを施し、参加者全員がゲームをクリアできるようにゲームをコントロールしました。

また、瑞木祭では他の2つのゼミに協力を依頼し、他のゼミもゲームをしながら展示物を閲覧できるという構成にしました。他の教室に促すために自分たちの教室(302)に「椎名優香」が他の教室にも行ったという情報を紙に書き、教室の出口付近に張り出しました。ゲームを進行する中で他の場所にも行くことを知り、実際に2つのゼミが作った研究展示物がある教室に向かって頂きました。そこで、他ゼミ生にもゲームの内容を説明し、ポストカードを持った参加者にはヒントを提示してもらうように準備を行っています。

活動方法

私達のプロジェクトが10月8日に発足し、約1ヵ月後に控えていた瑞木祭(学園祭)での体験型ゲームの作成に取りかかりました。

進め方

プロジェクトは、2年生4人で構成されており、ミーティングにより、目的達成までの過程について意志共有を図りながら、各々分担した作業内容に取り組み、全員で確認・添削を行いながら作業を進行しました。

結果と考察

結果

結果としましては、当日に「参加者の方々がゲームのスタートからゴールまでの進行が上手くいかない、謎が難しすぎた」「他ゼミとの回遊が上手くいかなかったこと」という、2つの反省すべき点が挙がりました。

この「進行が上手くいかない、謎が難しい」という点につきましては、準備不足が大きな要因だと考えています。十分なテストプレイが行えていなかったため、進行上の欠点や謎が全ての参加者に解けるものになっていたのか等の欠点に気づくことが出できなかったのだと思います。そして、「ゼミ内の回遊・他ゼミとの交流」でも、ゼミ内外との情報共有が足りていなかったため、ゲームがメインになってしまい、狙いであるゲームに参加することでゼミの研究発表も見て頂くという狙い通りに動いてもらうことができませんでした。

考察

このことから私たちは十分な期間の中でスケジュールを立てることが必要であると考え、テストプレイと改善する時間を増やすことで、より完成度を高めることが必要であると感じました。ゼミ内回遊・他ゼミとの交流でもゼミ内外との調整を行い、参加者がスムーズに移動できて、何をすればいいのかが分かりやすいように掲示物などに工夫をする必要があったと考えました。
私達は以上のことを踏まえてこれからの活動では必要な情報共有を行い、今後は、スケジュールも余裕を持って行うことで納得のできるものを完成させていきたいと考えています。

参考文献

『AR&LIFE』Warstyle URL:http://www.warstyle.jp/ar/howto/
閲覧日時 2014/02/08
『ゲーミフィケーション』MarlkZine URL:http://markezine.jp/article/detail/14354
閲覧日時 2014/02/08

執筆者

2年 西村 藤原 大塚 渡邉

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この記事を書いた人

産業能率大学情報マネジメント学部 准教授 橋本諭(はしもと さとし)。
研究テーマは、ソーシャルビジネス、人材育成を扱っています。

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