人材育成はエンターテイメントになる 総合診療医ドクターG

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本日、何気なくテレビを見ていて、一つの番組に釘付けになりました。NHKで放送している総合診療医 ドクターGです。

この番組は、医者のカンファレンス(病名を検討するための会議)を番組にしたものです。

総合診療医が病名を探り当てるまでの謎解きの面白さをスタジオで展開する、新感覚!病名推理エンターテインメント番組。総合診療医“ドクターG”が、誰にでも思い当たるような症状で、見逃しがちな難しい病気をひっさげてスタジオに登場。実際にあった症例をもとに再構成したビデオで出題。全国各地で奮闘する選りすぐりの若き研修医たちが“カンファレンス(症例検討会)”で鑑別診断を行う。

研修医3名とベテラン医師が患者の様子や問診、基礎検査情報を元に病名を検討していくまでの様子をミステリーのようなエンターテイメントとして提供しています。

本日は、手足が痺れる、太りやすくなった、肝臓に関する数値が悪い、体温が低いなどの状況から、病名を診断していく様が描かれていました。

人材育成がエンターテイメントとなる

この番組を見て面白いなと感じたのが、人材育成がエンターテイメントになっている所です。本当に些細な事柄を見逃さず、その中から病名を絞り込んでいく様子は、探偵が犯人を絞り込んでいくような面白さがありました。そして、ベテラン医師との対話を通じて、研修医達が育っていく様子が見て取れました。

特に、一般市民に取ってみれば、「病院に行けば病名がわかり、適切な治療をしてもらえる」と考えるモノですが、当然、同じような症状でも複数の可能性があり、それを知識や経験をもとにして絞り込みをしていくわけです。我々からすれば、パッと答えをしてしてくれるような気がしますが、その奥では深い専門知識による取捨選択や葛藤のようなものがあり、それをエンターテイメントとして見せてくれています。

この葛藤の様子などが示されていて、とても面白い番組になっていると思いました。

何に光を当てているのか

この番組が素晴らしいなと思うのは、研修医の方々が大変な努力をして、知識や経験を積み重ねていると言うことが伝わってくることです。若い研修医の方々が様々な勉強をしてきているのだなという様子が伝わってきました。一方で、ベテラン医師との力の差のようなものも見えてきます。

結果として、医療はすさまじいスピードで進化していることや、一人一人の医師達がそのスピードについて行くよう、また発展させるためにたゆまぬ研鑚を積んでいる様子が、伝わってきました。

医師達の世界では、カンファレンスというのは当たり前のものかもしれません。また、実際のカンファレンスというのは、番組とは違うものかもしれません。演出的なものもあることでしょう。それでも、門外漢からすれば、それは一つの興味深い対象となります。そして、人を育てるという行為自体は外から見るとエンターテイメントになるのかもしれません。確かに、世の中にあるヒーローやヒロインものの物語は、ほとんどが成長物語だったりします。

他にも、こんな番組は作れるのでは?

その意味では、別の職種においても人を育てるという行為はエンターテイメントになり得るかも知れません。ある職種においては当たり前の話が、それ以外の人からすれば特別なものに映るということです。なかでも人を育てるという行為の中には、その職種や業種の歴史的な特性などもあろうかと思いますし、特殊性もあると思います。それ自体がエンターテイメントとなり、さらにエンターテイメントを通じて職業の理解が深まるのであれば、とても面白い取組になるのではと感じました。

医者以外でも、こういった取組はできる気がしますし、何らかのアイデアが浮かんできそうな気がしています。

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この記事を書いた人

産業能率大学情報マネジメント学部 准教授 橋本諭(はしもと さとし)。
研究テーマは、ソーシャルビジネス、人材育成を扱っています。

橋本 諭

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