AIを用いたアイスブレイクアプリの作成

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はじめに

 皆さんこんにちは。橋本ゼミ14期の大塚・上村です。私たちは生成AIの新たな使い方として、生成AIが参加者の回答をもとに人物像を生成し、それを手がかりに他者を推理するアイスブレイクを目的としたアプリを制作しました。この記事では、このアプリの説明とアプリに用いた生成AIとプロンプトについてまとめました。

アイスブレイクアプリ作成の経緯

 私たちは2025年度の瑞木祭(学祭)で生成AI(LLM)を用いて、初対面同士のコミュニケーションを手助けすることを目的としたアプリを作成し、来場者の方に体験していただきました。

 このアプリは2~6人のグループで行い、まず3つの質問に回答します。回答結果をLLMに投げ、グループのメンバーの共通点や特徴を出力させ、それらを元にグループでの会話を促し、初対面同士での話のきっかけを作るアプリです。

 しかし、実際に体験していただくと、単に会話を促す仕組みだけでは話が広がらず、参加者が互いについて知るところまではつながりにくいという課題が見えてきました。また、瑞木祭に参加していただいた方にアンケートを取ったところ、「話の種を産む人が必要だなと感じた」、「現時点では話題を作るだけで、その話を発展させるような要素がないように感じた」という課題や、「授業のアイスブレイクに使えそう」などの意見をいただきました。

 そこで瑞木祭で得られた気づきをもとにアプリを再設計し、参加者の回答をもとにLLMが人物像を文章として生成し、その文章が誰を表しているのかを推理するゲーム要素のあるアプリへと発展させました。

アプリの概要

 本アプリは、質問に対する参加者の回答を基に、AIが各参加者の人物像を分析するアイスブレイクアプリです。回答の差異や共通点を把握するために大規模言語モデル(LLM)を使用し、人間では気付きにくい視点や処理速度で分析を行うことが出来ます。初対面でのコミュニケーションを活発化させることを目的としており、AIが進行役となることで学校の授業や会社の新人研修など、初対面の人が集まる場面での活用を想定しています。

LLMとは

 LLMを使用する理由として、自然言語処理に長けているという特徴が挙げられます。身近なものでは「ChatGPT」に用いられており、膨大なデータを学習し文章生成を行う言語処理に特化したAIモデルであります。本アプリでは、参加者の回答から共通点や傾向を見つけ出し、人物像を分析するという用途で活用されています。また、LLMは従来のAIと異なり、文脈や背景を理解した上で人間同様自然な文章の生成をすることが出来るため、進行役としての役割も十分に果たすことが出来ます。

質問について

 LLMの特徴を活かすために、質問事項を工夫しました。質問は全部で3問行い、それぞれの目的に応じた質問をランダムで出題します。

1問目:自分を表す質問/選択式

 (目的)参加者の緊張を和らげ、気軽に回答できる

              例)・今日の気分に一番近い天気は?—晴れ/曇/雨/強風/雷雨

                ・自分をおにぎりの具材に例えるなら?—鮭/梅/昆布/ツナマヨ/明太子

2問目:空想の質問/選択式

(目的)会話を広げる

              例)・最後の晩餐に食べるなら?

                —親の手料理/自分の大好物/ハイカロリーフード/高級料理

                 ・1か月で100万円使い切るとしたら何をする?

                 —海外旅行/毎日外食/親孝行/宝くじを買う/投資

3問目:個人の思考があらわれる質問/複数回答・記述式

(目的)参加者の思考面での共通点を見つける/付随するエピソードの共有

              例)・好きなものランキングTOP5

                ・夏休みの思い出は?

プロンプトとは

 生成AIの領域におけるプロンプトとは、「AIに正しく指示を出すための質問や命令文のこと」を指します。プロンプトには、ChatGPTをはじめ、生成AIで使われる「AIプロンプト」のほか、文字列やコマンドを利用してWindowsの操作を行う「コマンドプロンプト」がありますが、私たちが作成したアプリでは生成AIを利用したため、AIプロンプトの最適な作成方法を検討しました。

・プロンプトについて

 以上の質問をLLMに処理させるためのプロンプトを作成しました。

作成の際に意識したのは以下の3点です。

➀冗長性をコントロールする

最新のAIモデルは標準的で簡潔な出力を行う傾向があり、何も指定をしないと情報量が不足する場合があります。そのため、プロンプトで文章量・形式・構造を示すことが重要です。例えば、文字数・文の数・箇条書きの数などを指定すると、安定した出力が得られます。長い説明が欲しい時も「詳しく」ではなく、段落構成や項目数を指定することが効果的です。

②作業範囲を明確にする

最新のAIモデルは構造化や補完能力が高いため、指示が曖昧だと要求されていない追加作業や機能まで行ってしまうことがあります。そのため、「要求されたことだけを行う」、「追加機能や独自で判断をしない」などの作業範囲の指定をプロンプトに含めることで、意図に近い出力を得ることができます。含める内容だけでなく、同時に除外する内容を書くことが効果的です。

③出力の形を明記する

最新のAIモデルは指示に対する忠実度が高く、出力形式が明示されていない場合、文章・箇条書き・表・JSONなどの形式が実行ごとに変わる可能性があります。そのため、プロンプト内で出力形式や構造を明確に指定することが重要です。例えば、箇条書きか文章か、見出しの有無、JSON配列のみ出力するかなどを指定すると、出力のばらつきを抑えることができます。

アプリ利用の流れ

①個人のスマホを使用

②3つの質問に回答

③AIが回答結果から各参加者の人物像を分析

④参加者は分析結果から誰の回答なのか話し合う

⑤答え合わせを行う

・主要な機能

1.スマホを使用

 利用者は、各自が所有するスマートフォンからアクセスすることで、インストール不要で参加できます。

2.AIによる分析

 LLMの文脈理解による能力を活用し、回答を文字列ではなく意味として理解し、即時に分析が可能です。

3.AIによるファシリテーション

 従来のようにAIを集計ツールとして用いるのではなく、LLMの文章生成能力を活用し、AIが分析結果を話題提供や会話の促進に繋げることで、参加者の負担にならずスムーズな進行が可能です。

・アプリ動作説明

本アプリケーションはホストとゲストの二つの役割に分かれて動作します。

・ホスト操作説明

1.アプリにアクセスし、ニックネームを入力

2.「AI設定」からAIプロンプトのランダム性を設定

3.「ルームを作成して入室する」を押す

4.生成されたQRコードをゲストに共有する

5.ゲスト全員が参加したら「開始する」を押す

6.3つの質問に回答し、全員終わったら「回答を締め切る」を押す

7.会話を促すメッセージが表示され、ホストがページを操作すると全員の画面が連動して動く

・ゲスト操作説明

1.ホストが提示したQRコードを読み込み、ニックネームを入れて入室

2.3つの質問に回答し、「回答を送信」を押す

アプリ作成の時に重視した点

 質問作成においては、参加者の個人情報に踏み込みすぎないよう配慮しつつ、個人の趣味や趣向が表れる内容にする必要があり、そこのバランスを取ることが非常に難しいと感じました。そのため、実際に他のゼミ生にも協力してもらい何度も試作を行うことで、修正と改善を繰り返しながら調整を行ってきました。また、AIの特徴を生かした問題構成を意識し、人間では処理が難しい情報の整理や人物像の分析をAIに担わせることで、AIだからこそ実現できる価値を引き出すことを重視しました。

 プロンプト作成においては、会話が盛り上がるような文章を出力することと、出力されるデータに偏りがないようにすることを重視しました。しかし、会話を盛り上げるためのユーモアの加減が難しく、不自然で日本語として正しくない表現になってしまうことがありました。また、出力内容が1つの質問に対する内容に偏ってしまうという課題もありました。そこで、条件や禁止事項を明確に示すことで、表現の不自然さや出力の偏りを抑えるように改善しました。

おわりに

 今回は、AIを活用したアイスブレイクアプリの作成方法について紹介しました。AIにはまだ課題が残されていますが、仕組みや特性を理解することで、新たなサービスやビジネスの創出につながる可能性があることが分かりました。本アプリは、学校や職場などの場面で円滑なコミュニケーションを促進する手段として活用できると考えられます。ぜひ実際の現場で活用してみてください。

作成したWebアプリ

作成したWebアプリは以下のURLで試行できます。なお、開発を続けており、内容が変更になる可能性があることはお含みおきください。

https://thirdplaceapp.vercel.app

【参考文献】

[1]GPT-5.2 Prompting Guide(最終閲覧 2026.1.29)

[2]LLM(大規模言語モデル)とは?生成AIとの違いや仕組みを解説 | NECソリューションイノベータ (最終閲覧 2026.1.28)

[3]自然言語処理技術の進化:AIによる「ことば」の処理から汎用 A I へ 最近の動向について (最終閲覧 2026.1.28)

[4]プロンプトとは何? 定義や種類、使い方や文例を解説|Sky株式会社 (最終閲覧 2026.1.19)

執筆:橋本ゼミ14期生 上村怜 大塚 結姫

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