地域の喫茶店からみえた一味違った時間の過ごし方とは?

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1.はじめに

 こんにちは橋本ゼミ9期生の市坪慶悟と市村伶央です。

 私たちはゼミの活動の中で伊勢原の魅力を再発見するために「時間を忘れる!?地域の喫茶店でほっと一息」をテーマにした記事の作成を目指して伊勢原市の喫茶店を取材してきました。

出来上がった記事はこちらです

時間を忘れる⁉ 地域の喫茶店でほっと一息
こんにちは!市坪慶悟と市村伶央です! 皆さん今現在、このコロナ禍で心が落ち着く体験はできていますか? いろんな物事がオンラインに移行されていくことで人との対面のコミュニケーションが減り、心を休める体験ができなくなっているように感じます。 そ

 新型コロナウイルスが猛威を振るっている現状で、なかなか心にゆとりや落ち着きが取り戻せていない人も多いと思います。私たちもコロナ禍での大学生活は以前までの生活と違い、外に出るにはマスクをつけなければいけないし、お店に行けば消毒などをしてほかの客との距離感などを気にしなければならなく、窮屈な生活を強いられています。そんな状況でもほっと一息つける場所が伊勢原にあるのではないかと思い、取材を行う中で気づいた現代にはあまりない心のくつろぎの形とその魅力を紹介していきたいと思います。

2.現代のカフェ、喫茶店の形

 私たちは人々が落ち着いて過ごすことができる場所として、カフェや喫茶店に着目しました。近年海外のコーヒーチェーンが日本に参入し、駅前や駅構内を見渡すと「スターバックスコーヒー」や「ドトール」などで勉強をしたり、くつろいだりしている若者などが多くみられるようになりました。大手のコーヒーチェーン店はその安くて入りやすく、メニューが豊富でおしゃれというイメージを武器に人々の「カフェといえば」という常識を変えていきました。厚生労働省の「喫茶店について」の消費者動向の調査のグラフを見てみると、

 20代~60代で最近3年以内に喫茶店・カフェを利用したことがある人は75.6%であったものの、その中で大手コーヒーチェーンの店舗しか利用していない人は3割近くを占めていました。実際に私たちが利用している伊勢原駅にも「ドトール」や「イタリアントマトカフェ」などのコーヒーチェーンの店舗があり、多くの人が利用しています。ところが、この大手コーヒーチェーンの参入は以前までのカフェや喫茶店は「静かで落ち着ける」というイメージまで覆してしまったように感じます。

 そんな中、私たちは大手ではない個人経営の喫茶店に着目し、大手のコーヒーチェーンとはどのような違いがあるのか、またそこにしかない落ち着く空間があるのではないかと考えたため取材を行いました。

3.取材で見つけた個人経営の喫茶店の魅力とは?

 私たちは、伊勢原でコロナ禍でも落ち着つける場所を求め、創業40年を超える個人経営の喫茶店である「夢時鳩(ムジーク)」を取材しました。

 「夢時鳩」は伊勢原駅から徒歩約9分、神奈中バス大神宮前バス停から徒歩約3分のところにあり、店内はテーブル席が三席、カウンター席が二席あり、こぢんまりとしたお店です。木造の落ち着いた内装でいたるところに小物が飾られており、ここは田舎のおばあちゃん家なのでは?と感じてしまうほど落ち着くことができる空間が広がっていました。

 メニューはブレンドコーヒーや紅茶、トーストパンやナポリタンなどの喫茶店ならではのメニューがあり、私たちはドリンクがついた550円のトーストセットを注文しました。

 木のプレートやおしゃれなコーヒーカップで提供され、食器からも風情を感じることができました。お客さんも私たち以外にはご高齢の常連客が1人のみで、鳩時計とテレビの音が聞こえる静かな空間でした。マスターもとても気さくな方で、私たちの質問にも快く答えてくださいました。そんなマスターは、客が一人二人ぐらいいて、大手のコーヒーチェーンの店舗やファミレスでは体験できない人とのつながりが体験できるお店であることが第一であり、客との距離が近く、人の温かさを感じながらご飯を食べることができる空間が一番であると語っていました。

 多くの人でにぎわうお店もいいですが、より小ぢんまりとした空間で来てほしい客と話をすることに楽しみを感じるというお話を聴くことができました。私たちはこのお話を聴いて、「飲食×人と人とのつながり」は地域の喫茶店にしか出せない魅力であり、私たち若者が現代の生活において忘れてしまっている「日々の落ち着き」を取り戻せる唯一の場所だと感じました。

4.取材をして感じた新しい価値観

 今回喫茶店「夢時鳩」を取材して、大手コーヒーチェーンとの違いを感じることができました。「人が溢れる店ではなく人情が溢れる店を」という価値観は人が溢れているカフェに行き慣れている私たちにとって新鮮なものであり、一味違った落ち着きを感じることができました。

 更に私たちは「夢時鳩」で過ごす時間になにか「質の高さ」を感じました。ただ、お茶飲むという体験をしただけなのにそこで過ごす時間の質が高いと感じたのは日々の喧騒からかけ離れた空間で人の温かみに触れることができたからであると考えました。

 また、人が「落ち着く」と感じる条件の中に、「おこもり感」というものがあります。狭い空間で静かに過ごすことができる場所が人を安心させ、落ち着き効果をもたらすとされています。私たちが今回取材させていただいた「夢時鳩」も狭い空間の中で静かな時を過ごすことができるお店でした。

 新しいものに注目が集まり、それに流されていく現代において時間を忘れて一息つける場所は少なくなってきているように感じます。コロナ禍も相まって、なかなか心が休まらない日常の中でふと立ち止まって古き良き空間でほっと一息ついてみると今まで見逃していた質の高い時間の過ごし方が見えてくるかもしれません。

参考文献

・厚生労働省(2020)、「生活衛生関係営業の生産性向上を図るためのマニュアル」、P6「消費者動向」https://www.mhlw.go.jp/content/000505183.pdf

・木村大輔(2019)「アルファジャーナル」、『落ち着く部屋と感じるための「3つの条件」と「作り方実例」』

落ち着く部屋と感じるための「3つの条件」と「作り方実例」
インテリアと環境、その両方から「落ち着く部屋」にアプローチする方法を解説しています。毎日の生活パターンを見直して、落ち着く部屋をキープする方法も。

・mmommon(2019)「キナリノ」、『心落ち着くわたしの居場所。包み込まれるような「おこもり感」の作り方』

心落ち着くわたしの居場所。包み込まれるような「おこもり感」の作り方 | キナリノ
ひとりになる空間をもち、自分と向き合う時間をすごす。大切なことだとは思うけれど、現実は難しい……。仕事に家事にと忙しい人こそ、その大切さを実感しているのではないでしょうか。一日の終わりに、あるいはちょっと疲れたなと感じたときに。包み込まれる...

執筆:橋本ゼミ9期生 市坪慶悟 市村伶央

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この記事を書いた人
橋本ゼミ生

産業能率大学情報マネジメント学部橋本ゼミに所属するゼミ生です。

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