【SGDs目標1】アフリカの貧困を逆算してみる! 解決に必要なのは農業!?

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はじめに

 この記事では、SDGs目標17個の中からテーマ1である『貧困をなくそう』のうち、絶対的貧困について、考えていきます。

絶対的貧困とは何か

 貧困とは、「相対的貧困」と「絶対的貧困」と大きく2つにわけられます。

 「相対的貧困」とは、主に先進国での貧困のことを指します。可処分所得(実際に使える所得)の中央値の半分に満たない人々を貧困と定義とします。国民全体の所得を順番に並べたときに、全体の真ん中が200万円だとすれば、100万円未満の人々を貧困とみなします。周りに比べ貧困、経済的に大学に行けないなどの貧困がこの定義になります。

 「絶対的貧困」とは、主に途上国の貧困のことを指します。ある一定の所得・消費水準に満たない人々を貧困と定義しています。
 世界銀行では1日に消費する金額が1.9ドル(約210円)未満であることを『国際貧困ライン』と定義しています。生活が困難な貧困がこの定義になります。
この記事では「絶対的貧困」について書いていきます。

世界の現状

 世界の絶対的貧困の現状をグラフから考察していきます。

図1(引用①)

 図1は絶対的貧困率の地域別推移です。低・中所得の国々が大幅に下がっているのに対して、アフリカなどでは、徐々に減少しているが、まだまだ高い数値を残しています。


図2(引用②)

 また、図2は現在の絶対的貧困者の比率です。図を見てみても、世界全体でもおよそ10人に1人が絶対的貧困者であることがわかります。またアフリカなどでは、10人に4人が絶対的貧困者と、とても高い数字が出ています。
 世界全体では、徐々に絶対的貧困者は減っているが、まだ約7億人もの絶対的貧困者がいることが上の図を見てわかります。つまり、現在も7億人もの人たちは1日210円以下で暮らしています。

ここまでをふまえて・・・

 絶対的貧困になる理由は様々考えられ、その土地などによっても異なりますが、この記事ではアフリカに注目します。
理由は
・高い絶対的貧困率であること
・絶対的貧困率がなかなか下がらないこと

以上の2点の理由からアフリカに注目してみていきたいと思います。

仮説

 アフリカの貧困率が高い要因は、歴史的な問題、教育、病気など、理由が多々あります。その中で、『アフリカに、先進国の大企業が雇用を与えることによって、貧困が解決できるのではないか』という仮説をたててみました。

 なぜ、このように考えたかというと、近年、貧困率が下がってきている南アジアでは、スズキや川崎重工などの日本の企業の生産拠点が建てられており、その安定した雇用によって、安定した賃金が得られたことなどが要因ではないかと考えました。また、中国は、様々なメーカーの生産拠点として経済発展をし、今では世界2位の経済大国です。つまりアフリカにも、生産拠点ができることによって経済発展していくのではないかと思いました。

アフリカに生産拠点が少ない理由

 その一方で、仮説で考えたことはすでに企業も考えているはずだとも考えました。そこで、次に、アフリカに生産拠点が少ない理由を調べてみました。少ない理由の予想として、治安が悪い、食事の安全、などの理由が出てくると思っていました。しかし、アフリカに生産拠点が少ない理由は『人件費』の高さでした。コストがあがってしまうので生産拠点が少ないのが理由だとわかりました。


図3(③を参考に筆者が作成)

 上記の図3は、アジアの開発国とアフリカ諸国の人件費です。現在発展途中のベトナムやインドに比べ、アフリカ諸国は約2~4倍人件費がかかってしまい、南アフリカでは約6倍の人件費がかかってしまいます。これらの事から、アフリカの人件費が、どれだけ高いのかがわかります。このままでは、企業はコストがかかってしまうので、アフリカに生産拠点を作るのは難しくなってしまいます。では次に、なぜ人件費が高いのかを述べていきます。

アフリカの『人件費が高い理由』

 アフリカの人件費の高さを調べると、食料自給率の低さが、人件費を大きく上げていることがわかりました。アフリカの穀物生産効率は、世界平均の3分の1以下と指摘されています(参考④)。
 
 現在、経済発展をしている中国・インドとアフリカの米・小麦・トウモロコシの収穫量について調べてみました(アフリカ、インド、中国はいずれも人口が13億台です。)。すると、中国やインドは、アフリカに比べ、どの穀物も多いことがわかりました。またインドとアフリカはあまり大きな差はありませんでしたが、国という単位では、小麦の生産量でインドは世界2位の生産量なので、とても多いことがわかります。

 上記のことから、経済発展をしている国は、アフリカより穀物の収穫量が多いことがわかりました。次にアフリカの穀物自給率について調べてみました。

 穀物自給率を調べてみると、人口増加の影響で、アフリカの穀物の自給率は下がっており、現在では、自給率が100%を超えている穀物がないことから、穀物の需要に対して供給が間に合っておらず、アフリカでは現在食料の値段が上がっています。

 つまり、「主食である穀物の生産が低い』⇒「食料自給率の低くなる」⇒「食料の値段が上がる」⇒「人件費の上昇」が起こっているということがわかりました(参考⑤)。このことより、アフリカの絶対的貧困をなくすための一つの手段として、食料自給率をあげること、具体的には農業を発達させることが、アフリカの絶対的貧困をなくすことにつながるのではないかと考えました。

まとめ

 SDGsテーマ1:「様々な形の貧困をなくそう」を絶対的貧困の視点から見ていきました。

 絶対的貧困は、生活に困るような貧困のことを定義し、主にアフリカで深刻な問題となっています。そしてアフリカで、絶対的貧困をなくすために企業の生産拠点を作り、安定した雇用を増やすことによって、安定した賃金を生み出して、貧困をなくすことを考えました。しかし、企業の生産拠点を作るためには、農業を発達させて、食料自給率を上げることにより物価を下げることが必要だとわかりました。
 

日本ができること

 いままでは、アフリカの現状や貧困の理由も理解せず、募金していました。ただ、本当に必要なのは農業などの技術やその道具なのではないかと思い、募金したお金がどのように使われているのか気になりました。

 また、日本などの先進国は、穀物の品種改良などをして、日本では、お米が安定して食べられるようになっています。このような品種改良のノウハウを使いアフリカの気象に耐えられるような農作物を作ることが出来れば、大きなビジネスチャンスになるのではないかと、素人ながら思いました。そして貧困の解決につながれば、距離的には遠いアフリカ諸国とwin‐winの素晴らしい親密な関係ができるのではないかと思いました。

 最低限の資金的なサポートも必要です。ですが、農業などの研究にお金を出すことによって、直接的では無くとも、巡り巡ることで貧困の根本的な問題の解決に役に立ち、直接的な資金サポート以上の効果を発揮するのではないかと思いました。

参考文献

①世界銀行 国際貧困ライン、1日1.25ドルから1日1.90ドルに改定 http://www.worldbank.org/ja/country/japan/brief/poverty-line
②世界銀行 世界の貧困に対するデータ http://www.worldbank.org/ja/news/feature/2014/01/08/open-data-poverty
③日本貿易復興機構 ジェトロ 投資コスト比較結果 https://www.jetro.go.jp/
④アフリカ問題―問題と援助の世界史 https://doors.doshisha.ac.jp/duar/repository/ir/17370/o283.pdf
⑤日経ビジネスオンライン「開発の時代」はアジアまで、アフリカは離陸できない?
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20131227/257672/?P=2

執筆:橋本ゼミ5期生 土屋勇人 4期井上 6期山口

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この記事を書いた人
橋本ゼミ生

産業能率大学情報マネジメント学部橋本ゼミに所属するゼミ生です。

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