グラフィックレコードについて勉強してきました

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今日は、東大にてワークショップ研究の安斎さん(@yukianzai)とグラフィックレコーダーの清水さん(@4mimimizu)さんによる「課題解決のためのグラフィックレコード入門 議論を可視化し、揺さぶるファシリテーションの手法を学ぶ」ワークショップに参加してきました。

グラフィックレコードとは、以下のように説明されています。

 社会課題の複雑化にあわせて、企業や地域を中心に対話の場作りを通じた課題解決のための実践がふえています。そのためのワークショップやファシリテーションの手法は数多く開発されていますが、近年「グラフィックレコード」と呼ばれる課題解決の手法が注目を集めています。グラフィックレコードとは、議論や対話のプロセスを構造化して、ビジュアルとしてリアルタイムで描きだす手法です。単なる情報整理や記録だけでなく、場の議論を整理し、フィードバックを与えることで課題解決を促進するファシリテーションの手法としても役立ちます。

イベント告知ページより

私は、ワークショップを実施する際にどのように記録するのかに興味を持っています。たとえば、リフレクションビデオというのもその一つです。
 グラフィックレコードという存在は知っていましたが、「絵を書く」ことが超絶苦手な自分としては、「絶対にムリだ」と決め付けていました。
一方、授業における板書や学生指導などにおいては、複雑な事象を整理しわかりやすく伝えることの必要性を常々感じていました。そんなことから一念発起し、このワークショップに参加した訳です。

筋トレ的ワークショップ

ワークショップの前半は、グラフィックをひたすら練習しました。提示されたテーマは大きく3つ。「アイコン」「関係」「文脈」です。この3つを書くことがグラフィックレコードの基礎だそうです。

たとえば、アイコンには、「人」があります。派生系として「クライアント」も書いてみました。人はかけても「クライアント」は難しい。クライアントを示す何かが必要です。さらに、形が見えない「ソリューション」なんてものにもチャレンジしました。

ソリューションのような形のないものを書くコツとしては、「連想ゲームのように他のものを書くと良い」ということで、私はプレゼンのパッケージにしてみました。前職コンサルという名残りだなと改めて感じました。

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Aから人を書く方法を教えてもらった。これなら、自分にもできそうだ。

次に、関係とは「売上が2倍になった」などの状況等の変化について書くことです。そして「文脈」とはアイコンと関係が集まったものです。「クライアントに10%売上向上の提案を行うために、市場調査を行う」という内容を書きました。

恥ずかしながら、私の作品は以下のもの。
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参考:「ワークショップデザイン・シリーズ」 vol.3 レポート | Design Innovation Consortium デザインイノベーションコンソーシアム

なお、こういったグラフィックレコードにはレベル1〜6位まであり、ビジュアルで表現する所までがレベル3で、その後課題解決のため、ファシリテーションのためのグラフィックレコードがあるとのこと。

課題解決のためのグラフィックレコード

後半では、リアルタイムにグラフィックレコーディングを行いながら、ファシリテーションを行っていくことを体験しました。アシスタントを務められた和泉さん(@wawawa_izumi)のキャリアお悩み相談会を題材とし、リアルタイムでプロセスを記録していきました。

実際にどのようなことが話されるのかがわからない中で記録していくことの難しさをまざまざと感じると共に、グラフィックにしていくことで場の話題が整理されることも体感出来ました。

さらに、恥ずかしながら最終的に私が書いたものはこちらです。
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清水さんの作品はこちら。当たり前ですが、自分と、全然違うのであります。
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感想

体験してみて感じることがありました。それを図示するとこんな形です。縦軸は、わかりやすさ(誰にとっての)、横軸は主観/客観です。
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グラフィックレコードをしようとした時に、まずは他人にとってわかりやすいグラフィックを書こうとしました。さらに、より客観的であろうと③を目指しました。しかし、話が複雑になっていくと、どうしても①の方向に移っていきました。つまり、自分だけがわかるような「メモ」になっていきました。

プロセスとしては、話を自分の「枠」にはめて理解しようとし始め(②に移りだし)ました。それでも他人にわかるようにと頑張っていましたが、次第に「自分だけわかればいいや」ということで、とにかくその場で何が起きているのかを記録することだけしかできなくなりました(①への移行)。

ただ、これは自分にとって大きな気付きでありました。これまで、私が誰かの話を聞くとき、議論をまとめようとする時は常に①のモードであったと思います。そして、それを何か報告するとき(すなわち、今のようにブログなどを書くとき)に②のモードに入れているのだと気付きました。そして、それは重要な何かを見落とし、聞き落とししていたかもしれないなと感じました。

また、少なくとも私の場合には、ビデオを使って撮影するときも、写真のときも、グラフィックの時も、ましてや「文字」での議事録の時も、かなりの情報を落としているということに気付きました。それは、意図的に落としている部分と、何らかのバイアスがかかることにより無意識に落としている部分があるのだと思いました。

リフレクションビデオの時も、何らかの色眼鏡を掛けているつもりで撮影、編集を行ってきましたが、情報を編集するときには少なからずバイアスはかかるものだという前提に立ったデザインが必要なのだと感じた次第です。

本日は、貴重な機会を提供くださりありがとうございました。安斎さん、清水さん、和泉さん、他スタッフの皆様有難うございました。

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この記事を書いた人

産業能率大学情報マネジメント学部 准教授 橋本諭(はしもと さとし)。
研究テーマは、ソーシャルビジネス、人材育成を扱っています。

橋本 諭

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