場づくりには「センス」が必要か? いや、左手です

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今、11月8日9日の学祭に向けた準備を進めています。主役は、現3年生の2期生。もちろん、彼らだけでは作り上げる事はできないので、後輩達の力を借りながら、先輩達にアドバイスをもらいながらやっていっています。ちょっと、というかかなり〆切間際になってきていますが、お尻どころか、いろんな所に火がついた状態で日々が進んでいます。

皆様にご紹介したいところは山々なのですが、あと少しの所が詰まっていません。特設サイトや諸々を用意していますので、もう少々お待ちください。そして、是非ともお時間を作っていただき、ご来場いただければ幸いです。

現在、少しだけ、気持ち程度ちょい出ししたのが、こちらです。一応、この中に今回の世界観を表現しています。今後情報流しますので、みなさん、是非いいね!をお願いいたします。

さて、こちらのFBページの画像を見ていただくとおわかりになるかと思いますが、今年は「鳥居」が関係します。というよりも、世界観を表すと「鳥居」に行き着くのです。もちろん、FBページだけではなく、この後発表する特設サイトや、諸々に反映させていく事になります。そして、当日の(たぶん、世界初?の)クリエイティブコンフィデンスを取り戻す体験型ゲームへと反映される訳です。

本題

先日、会場のレイアウトなどを検討している際に、ある議論が印象に残ったので紹介します。それは、学生からのこの世界観を表したいから、○○をしたいという提案がきっかけでした。ネタバレさせると怒られるので、少しぼやかしますと、海を表現したいから水を張りたいとか、朝日を表現したいからライトをたくさん買いたいといったようなものでした。(学生の名誉のために書くと、かなりわかりやすいように脚色しています)。

世界観を表現するというのは大切なことなのですが、一方で予算もあります。次の日の朝には教室に戻さなくてはならないという制約もあります。準備時間も限られています。当たり前の事ですが、できる事は限られているわけです。

では、海を表現するのに、水は必要なのでしょうか? 実はそうではないと思います。ヒントとして考えるのが、落語における小道具です。

落語家の方々は、扇子や手ぬぐいなどを巧みに操りながら様々なものを表現しています。ある時は、箸になり、ある時は釣り竿になります。

本物の箸のように扇子の柄の部分を持ち、物を食べます。箸を持っている手のほうだけでなく、持ってない方の手を箸(扇子)の下に添えることによって物を食べている様子を表します。
allabout.co.jp

実際に動画を見ると、びっくりするくらい扇子は箸に見えてくるのです。そして、そのカギは左手にあるというのです。確かに、左手を添えているからこそ、ソバを食べている姿に見えてくるわけです。

では、この落語に、本物の箸とどんぶりを持っていけば、もっと本物っぽく見えるでしょうか? 私はそうではないと思います。物事がそう見える本質を表現できていれば、別にその場に何かがなくても本物のように見えるのだと思います。逆に、本物を使う事によって、あたかも本質を捉えた気になってしまうことが怖いなと思っています。

僕らの例にすれば、「海」を表現するのだから「水」が必要だ、という場合に考えるべきは、果たして「海」を海たらしめているのは、果たして「水」なのか、と言うことです。そして、扇子が箸に見えるために必要なのが「左手」であるように、今回の世界観を表現するための条件を考え続ける事が必要なのだと考えています。「海」を表現するのだから、水を敷き詰めましたってことで満足して、ただの水たまりにしか見えないでは、意味がないわけです。

本物を使えば大丈夫でしょう? というのは思考停止に陥る怖さがあります。むしろ、制約があった方が、発想は活かせるのだと思っています。スキルも、お金も、ものもない中で、頭を絞り続ける。それが必要な事だと思っています。

タイトルに戻りますと、すなわち場づくりをする際に必要なのは「扇子(センス)」ではなく、左手であると言うことです。さて、箸に見えるためには、左手が必要なように、私たちが表現したい○○のためには、何が必要なのでしょうか? 僕らは、当日ギリギリまで考え続ける事になるでしょう。

PS:全国ロケ地ガイド:ドラマ・映画・特撮の撮影場所案内というサイトがあります。こちらを見ると、あるドラマで使われたロケ地が紹介されています。その中には、設定とは全く違う場所で撮影されているものがいくつか見つかります。でもきっと、映像を見ている際には気付かなかったのではないでしょうか。小道具や演技等色々な要素はありますが、考える視点としては面白そうです。たとえば、何があるとホテルに見えるのでしょうか? 病院に見えるのでしょうか? 役所に見えるのでしょうか? そんな妄想を楽しんでいます。

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この記事を書いた人

産業能率大学情報マネジメント学部 准教授 橋本諭(はしもと さとし)。
研究テーマは、ソーシャルビジネス、人材育成を扱っています。

橋本 諭

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