精神障害と労災

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 どのような仕事であっても、長時間労働を伴う激務や自分が「神様」だと勘違いしている顧客、その世界に「適応してしまった」人達との人間関係など、現在はストレスフルな時代かと思います。誰もが何らかのストレスを抱えて生きていて、誰もがストレスから離れて過ごしたいと願っているのだと思いますが、一方で避けることができないと腹をくくる必要もあるものです。

 そうした中、「うつ病」などのメンタルヘルスが問題となっています。ここでは、少しばかり、労災との関係について記載します。

労災認定


 よく、仕事をしていて「うつ病」を発症したら、労災になると考えている方がいますが、実はそう単純ではありません。
 

労災保険とは、労働者災害補償保険法(以下「労災保険法」といいます。)に基づく制度で、業務上災害又は通勤災害により、労働者が負傷した場合、疾病にかかった場合、障害が残った場合、死亡した場合等について、被災労働者又はその遺族に対し所定の保険給付を行う制度です。出典:労災保険情報センター

 
 労災保険(労災)は、業務上の災害であることが必要です。通常の怪我や事故と違いメンタルヘルスの場合には、分けるのはとても難しいのです。厚生労働省では、そのための指針を出していて、昨年末、平成23年12月26日に通達を出しています。出典:厚生労働省

精神障害は、外部からのストレス(仕事によるストレスや私生活でのストレス)とそのストレスへの個人の対応力の強さとの関係で発病に至ると考えられています。発病した精神障害が労災認定されるのは、その発病が仕事による強いストレスによるものと判断できる場合に限ります。

 このように、「その発病が仕事による強いストレスによるものと判断できる場合に限ります」と明記されています。たとえ、精神障害を発病していても、仕事による強いストレスによらない場合には、労災には認定されません。また、そのストレスとは何かについても、様々記載されています。是非、参照元をご覧ください。

 結果的には、平成22年において、1061件中308件(29.0%)が業務上と認定されています。

考える事

 いくつかの観点があると思います。当然、ここに出てくる数字は氷山の一角ということです。労災に認定されなくても、そういった病気で苦しんでいる方もいます。一方、そういった病気を楯に使っている人もいることでしょう。まだまだ隠れたものはたくさんあることでしょう。それは、既に日常に紛れ込んでいることが示唆されます。

 たとえば、認定基準について見てみると、業務上の強いストレスとして、「会社の経営に影響するなどの重大な仕事上のミスをした」などが挙げられています。「会社の重要な仕事を任せてもらった」という美談とうらはらな関係にありそうです。他にも、重要な要因として「長時間労働」も挙げられています。こうしてみれば、極めて日常の中にあるように思えるのです。

 日常にあるということは、我々のすぐそば、あなたのすぐそばでも起こるということを考え無ければならないのだと思います。決して、一部の「ブラック企業」の話ではないのだと思います。

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この記事を書いた人

産業能率大学情報マネジメント学部 准教授 橋本諭(はしもと さとし)。
研究テーマは、ソーシャルビジネス、人材育成を扱っています。

橋本 諭

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