あなたの周りに自信を引き出してくれる「モモ」はいますか?

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今年の橋本ゼミでは、「クリエイティブコンフィデンス」をテーマに活動をしていこうと考えています。クリエイティブコンフィデンスとは、創造性に対する自信という意味ですが、「自分には周囲の世界を変える力があるという信念」と訳されています。

このクリエイティブコンフィデンスについて考えていたとき、ミヒャエル・エンデの「モモ」の事を思い出しました。なぜか、ふっと思い出したのです。とても自然に。そして、20年ぶりに「モモ」を買い直しました。(あまりにも自然なので、もしかしたら、どなたか同じ事を考えていて、私に伝えてくれた人がいたかもしれません。すみませんが、思い出せません。それは、私のアイデアだと言う方は教えてください。)

多くの方がご存じだと思いますが、「モモ」は、有名な児童小説です。モモは、時間泥棒によって「時間を節約することこそが素晴らしい」と信じ込まされ、心に余裕がなくなってしまった人達のために、時間泥棒と戦い時間を取り戻すという物語です。

私も小さい頃にこの本を読んだ事があったのですが、20年ぶりに読み直してみると、私自身完全に時間泥棒に時間を盗まれてしまい、心に余裕をなくしてしまっていると感じました。時間を効率化し、効率化した時間によってさらに仕事をする。これは、大人こそ読むべき物語です。

さて、今回はこの本題ではなく、「モモ」のある特徴が、気に掛かりました。少し、長いのですが引用します。

 小さなモモにできたこと、それは他でもありません、相手の話を聞くことでした。なあんだ、そんなこと、とみなさんは言うでしょうね。話を聞くなんて、誰にだってできるじゃないかって。
でもそれは間違いです。本当に聞くことができる人はめったにいないものです。それこそ他には例のない素晴らしい才能を持っていたのです。
モモに話を聞いてもらっていると、ばかな人にも急にまともな考えがうかんできます。モモがそういう考えをひきだすような事を言ったり、質問したりした、という訳ではないのです。ただじっと座って、注意ぶかく聞いているだけです。その大きな黒い目は、相手をじっと見つめています。すると相手には、自分のどこにそんなものが潜んでいたのかと驚くような考えが、すっとうかびあがってくるのです。
ミヒャエル・エンデ作 大島かおり訳(2005)「モモ」岩波少年文庫. P23

このように、モモはただ、話を聞いているだけなのですが、モモに話を聞いてもらうと、驚くような考えが浮かんでくると言うのです。つまり、モモに話を聞いてもらうと、クリエイティブコンフィデンスを取り戻すことができる、と読めます。

もちろん、これは「小説」です。しかし、何かヒントがありそうです。
モモは、「話を聞くときにその人の中にすっと入り込んで、その人の考えや、その人の本当の心を理解する事ができた P141 」とあります。誰かに話を本当にじっくり聞いてもらう事によって、クリエイティブコンフィデンスを取り戻す事ができるのかも知れません。

クリエイティブコンフィデンスについては、既にいろいろな方法が研究されています。僕らは、まだまだ勉強途中です。色々と研究し、僕らにできる何らかの方法を実践できたらと考えています。その時のヒントに、「モモ」はなるだろうと思います。クリエイティブコンフィデンスを取り戻す事ができる場を作る事ができたとしたら、つまり「モモ」があたかもいるような場を作る事ができたら、それはとてもステキなことだなと感じています。

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この記事を書いた人

産業能率大学情報マネジメント学部 准教授 橋本諭(はしもと さとし)。
研究テーマは、ソーシャルビジネス、人材育成を扱っています。

橋本 諭

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